当科における10年間のQスイッチルビーレーザーによる太田母斑の治療成績と副作用
1. はじめに 1992年4月から2002年3月までの10年間に近畿大学医学部皮膚科を訪れた太田母斑の症例は, 515例にも達した. 太田母斑は真皮内に存在する多くのメラノサイトが原因であり, 多くは片側性の青色斑として目立つことが多く美容的にも悩んでいる患者は多い. 当科では約10年前より, 太田母斑患者のQスイッチルビーレーザーによる治療を積極的に取り組んでおり, 今回その治療成績と副作用について検討した. 2. 対象と方法 太田母斑患者の内訳は, 男性98例, 女性417例, 片側性439例, 両側性76例だった. 太田母斑患者全員にQスイッチルビーレーザーで治療した. Qスイッチルビー...
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Veröffentlicht in: | 日本レーザー医学会誌 2003-09, Vol.24 (3), p.125-125 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 1. はじめに 1992年4月から2002年3月までの10年間に近畿大学医学部皮膚科を訪れた太田母斑の症例は, 515例にも達した. 太田母斑は真皮内に存在する多くのメラノサイトが原因であり, 多くは片側性の青色斑として目立つことが多く美容的にも悩んでいる患者は多い. 当科では約10年前より, 太田母斑患者のQスイッチルビーレーザーによる治療を積極的に取り組んでおり, 今回その治療成績と副作用について検討した. 2. 対象と方法 太田母斑患者の内訳は, 男性98例, 女性417例, 片側性439例, 両側性76例だった. 太田母斑患者全員にQスイッチルビーレーザーで治療した. QスイッチルビーレーザーはM&M社が取り扱っているスペクトラム社製RD1200を使用した. レーザーの波長は694. 3nm, パルス幅は25msである. 照射ジュールは, 5. 0から6. 0ジュール, スポットサイズは6. 5mmで行なった. 今回効果判定に用いた症例は384例で, 途中で来院しなくなった症例は99例, 未治療例は32例であった. 次に効果判定基準について示す. 最終治療後3ヶ月経った時点での判定基準であり, 100~95%の色素斑の消失が認められた場合を治癒, 以下94~75%を著効, 74~50%を有効, 49~25%をやや有効とし24%以下の消失しか認められなかった場合を無効と, それぞれ設定した. また, 副作用として最も多い脱色素斑が治療した全症例の中でどのくらい発生したかを追跡調査した. 3. 結果 前述の効果判定基準を元に判定すると, 治癒70例, 著効101例, 有効139例, やや有効74例, 不変0例であった. 治療回数と効果では10回以内の照射が殆どであり, 1~5回で有効~やや有効が多いのに対し, 6~10回では, 著効~有効が多いという結果になった. また, 今回の治療で脱色素斑の生じた例は65名であり, その6割は完全に消失または, わかりずらくなっていた. 完全に消失した32例の3分の2は4年未満で消失していた. 4考察, 結語 10年間で483例の太田母斑患者に対し, Qスイッチルビーレーザー照射による治療を行った. 効果判定に用いた384例のうち, 有効以上(約80%)は310例, やや有効74例, 不変0例と, かなり良好な成績を得た. あらためてQスイッチルビーレーザーが太田母斑の治療としてふさわしいということが確認できた. レーザー治療後, 脱色素斑を生じた65例を発生率において治療間隔, ジュール数, 治療回数の差で検討した. 治療間隔, ジュール数では有意差を認めなかったが, 治療回数で有意差を認めた. 治療回数を重ねる毎に, 脱色素斑が出現する可能性が高くなるが, 少ない回数でも出現することがある. このことより相対回数を減らせば良いと言える. また, 照射間隔は, 一般的に3ヶ月が適当とされているが, 3ヶ月より短くても長くても, 脱色素斑発現率に有意差はなく, 半年~1年間隔で治療しても充分に効果があるといえる. |
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ISSN: | 0288-6200 |