S13-3 自家蛍光内視鏡における最適な励起波長に関する検討
1. 背景 内視鏡は画像の高精細化や拡大観察, 色彩・輪郭強調処理等により診断能を大きく向上させたが, 正常粘膜との差異が少ない微小癌の早期診断や病変範囲の正確な同定には肉眼的な形態・色調の観察のみでは今なお限界がある. そこで良・悪性等の病理組織情報が可視化できるような新たな内視鏡システムが求められており, これにレーザー光を利用することも検討されている. 生体組織の病理情報可視化については, 組織への光照射によって励起される腫瘍に特異的な自家蛍光を利用することが注目され, HpDなどの蛍光増感物質の投与を必要としない非侵襲的組織診断法の実現が期待されている. 消化管の病変については, 内視...
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Veröffentlicht in: | 日本レーザー医学会誌 2002, Vol.23 (3), p.215-215 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 1. 背景 内視鏡は画像の高精細化や拡大観察, 色彩・輪郭強調処理等により診断能を大きく向上させたが, 正常粘膜との差異が少ない微小癌の早期診断や病変範囲の正確な同定には肉眼的な形態・色調の観察のみでは今なお限界がある. そこで良・悪性等の病理組織情報が可視化できるような新たな内視鏡システムが求められており, これにレーザー光を利用することも検討されている. 生体組織の病理情報可視化については, 組織への光照射によって励起される腫瘍に特異的な自家蛍光を利用することが注目され, HpDなどの蛍光増感物質の投与を必要としない非侵襲的組織診断法の実現が期待されている. 消化管の病変については, 内視鏡下に消化管粘膜に青色光を照射して得られる微弱な自家蛍光を高感度カメラで検出し, 実時間でモニター上に動画像表示する装置が試作され, 臨床的有用性を報告してきた(第21回レーザー医学会総会). これまでの成績では大腸粘膜では腫瘍部と背景正常粘膜との自家蛍光の差が大きく腫瘍性病変の検出が通常内視鏡単独よりも容易であったのに対し, 胃では正診率が約70%でfalse positiveが多く, 特に未分化癌の診断能が低かった. そこで今回は, 診断能を向上させるための最適な励起光波長を求める目的で, 青色光以外の励起光について腫瘍特異的自家蛍光に関する基礎的および臨床的検討を行った結果について報告する. 2. 方法 胃および大腸の腫瘍性病変を対象に, 励起光として青色光(400-470nm)の他に, 自家蛍光の特異性が青色光より高くなると予想された短波長光(近紫外光(350-370nm)および紫色光(380-400nm))を用いて自家蛍光スペクトルの測定および内視鏡的自家蛍光像の観察を同一病変に対して行った. 自家蛍光スペクトルの測定は, 各波長の励起光を照射できる光源に接続されたexciting fiberを内視鏡鉗子孔より挿入し, 病変部と正常粘膜部の境界を含むように直線状に連続した領域について自家蛍光スペクトルの計測を行った. 3. 結果 青色光と同様に近紫外光, 紫色光による励起においても腫瘍性病変部と正常粘膜部で異なった自家蛍光スペクトルを示した. 胃の高分化腺癌と大腸の腺腫・腺癌では青色光励起の場合が最もスペクトルピーク比(腫瘍部蛍光スペクトルのピーク/正常部蛍光スペクトルのピーク)が低く差が大であり, また, 自家蛍光像においても青色光励起の場合に肉眼的コントラストが高く病変認識が容易であった. 一方, 胃の低~未分化癌では紫外光および紫色光励起でスペクトルピーク比が低く, 自家蛍光像でも紫色光励起で病変認識が容易となる傾向がみられた. 4. 総活 自家蛍光内視鏡は肉眼的に認識困難な微小腫瘍性病変の早期検出や病変範囲の同定に有用と考えられるが, 正診率の向上にはなお改良を必要とする. 異なる励起光について自家蛍光の特徴を検討した結果, 大部分の消化器癌病変では青色光励起の場合が最も病変検出能が高かった. 胃の低~未分化型癌に関しては紫外光・紫色光の方が自家蛍光による診断能が優れており, 腫瘍に特異性のある蛍光診断法の開発には青色光以外の励起光も使用することによってより精度の高い非侵襲的組織診断法の実現が可能になると考えられた. 参考文献 1)T.Ogihara, H.Watanabe, A.Namihisa, et al:Clinical experience using a real time autofluorescence endoscopy system in the gastrointestinel tract. Dig Ther Endosc 5:119-124, 1999 2)荻原達雄, 浪久晶弘, 佐藤信紘:蛍光内視鏡による癌診断. 組織培養工学28:7-10, 2 |
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ISSN: | 0288-6200 |