S08-1 色素レーザー治療の新展開:V beamによる治療経験(1)単純性血管腫(Port Wine Stain)について
「1. はじめに」今回我々は波長595nm, パルス幅可変式, 照射野瞬間冷却装置Dynamic Cooling Device(以下DCD)内蔵型のロングパルス色素ダイレーザー(V beam;Candela社製)を用いて, 単純性血管腫(PWS)の治療をおこない従来よりも優れた治療効果を得た. 2. 対象と方法 単純性血管腫41例に対し, 2か月間隔をあけて照射をおこなった. 原則的に術前術後処置は不要であったが, 特に, 広範な照射をおこなう場合や小児の場合は, 照射1時間前に7%リドカインクリームODTによる表面麻酔をおこない, 照射後は抗生剤含有軟膏の外用をおこなった. 治療期間中は厳重...
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Veröffentlicht in: | 日本レーザー医学会誌 2002, Vol.23 (3), p.192-192 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「1. はじめに」今回我々は波長595nm, パルス幅可変式, 照射野瞬間冷却装置Dynamic Cooling Device(以下DCD)内蔵型のロングパルス色素ダイレーザー(V beam;Candela社製)を用いて, 単純性血管腫(PWS)の治療をおこない従来よりも優れた治療効果を得た. 2. 対象と方法 単純性血管腫41例に対し, 2か月間隔をあけて照射をおこなった. 原則的に術前術後処置は不要であったが, 特に, 広範な照射をおこなう場合や小児の場合は, 照射1時間前に7%リドカインクリームODTによる表面麻酔をおこない, 照射後は抗生剤含有軟膏の外用をおこなった. 治療期間中は厳重な遮光指導をおこなった. 3. 結果と考察 Anderson & Parrishのselective photothermolysis理論では, PWSの標的血管径を40μmとし, パルス幅0.45msec, 波長585nmでの色素レーザー治療がおこなわれてきた. 従来のSPTL-1a, 1bでは, 急速に血管が加熱されることによる血液成分の血管外漏出により起こる照射後の紫斑形成が必発であった. 血管の熱緩和時間に比べてレーザーパルス幅が短い場合, 加熱は標的血管の表面層に限られ, 深部に存在する太い血管径の病変に対しては, 十分な治療効果が得られなかった. V beamは血管径の異なる様々な疾患に応じたパラメータの選択が可能であり, 標的血管に緩徐で一様な熱凝固変性を起こさせることが可能である. 血管内においてエネルギー分布が均一であるということは, 血管が熱せられた状態である時間を長くする効果を持つ. また, 紫斑形成を回避することが可能である. SPTL-1a, 1b無効例については, パルス幅を長く設定し, DCDにより, 表皮を保護しつつ, 従来よりも高い照射出力で標的血管に選択的に作用することで, 特に従来難治性であった四肢, 体幹, 成人のPWSについても, 安定した治療効果を得た. 従来の色素レーザー治療に必発の副作用であった照射後の紫斑形成を認めたものは41例中3例であった. これはV beamの理論と臨床の実際との相違点であるが, 実際, 血管性病変, 特にPWSについては治療初期の段階では多少の紫斑形成を認める方が高い治療効果が得られた. |
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ISSN: | 0288-6200 |