臍帯血移植後の早期再発に対して,移植片対宿主効果が有効であった濾胞性リンパ腫から形質転換したびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫

症例は71歳男性.後腹膜リンパ節腫脹による水腎症にて発症.濾胞性リンパ腫(FL)と診断.経過中びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に形質転換し,化学療法中前胸部に巨大腫瘤残存し化学療法不応となったため,同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)目的に当院へ紹介.前胸部腫瘤に対し放射線治療にて寛解後に,フルダラビン,アルケラン,全身放射線照射(TBI)の強度減弱前処置にタクロリムス,ミコフェノール酸モフェチルによる移植片対宿主病(GVHD)予防による臍帯血移植(CBT)を施行.Day16に好中球生着したが,LDHは著明に上昇し,day23に骨髄は混合キメラの状態,c-MYC,BCL2の転座...

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Veröffentlicht in:日本輸血細胞治療学会誌 2021/12/24, Vol.67(6), pp.601-606
Hauptverfasser: 前垣, 雅哉, 足立, 康二, 河村, 浩二, 田澤, 千明, 西尾, 崇矢, 濵田, のぞみ, 原, 健太朗, 鈴木, さやか, 細田, 譲, 但馬, 史人, 福田, 哲也, 鈴宮, 淳司
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は71歳男性.後腹膜リンパ節腫脹による水腎症にて発症.濾胞性リンパ腫(FL)と診断.経過中びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に形質転換し,化学療法中前胸部に巨大腫瘤残存し化学療法不応となったため,同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)目的に当院へ紹介.前胸部腫瘤に対し放射線治療にて寛解後に,フルダラビン,アルケラン,全身放射線照射(TBI)の強度減弱前処置にタクロリムス,ミコフェノール酸モフェチルによる移植片対宿主病(GVHD)予防による臍帯血移植(CBT)を施行.Day16に好中球生着したが,LDHは著明に上昇し,day23に骨髄は混合キメラの状態,c-MYC,BCL2の転座のあるリンパ腫細胞が出現し再発と診断.そのためDay26に免疫抑制剤中止したところ,LDHは徐々に低下し,GVHDの発症なくDay55には骨髄は完全キメラの状態に至り,再寛解となった.移植後早期再発に対して免疫抑制剤の中止による移植片対リンパ腫(GVL)効果が誘導されたと考えられた.今後allo-HSCT後のリンパ腫の早期再発に対する治療のためのGVLの効果的な誘導方法を検討すべきと考えられる.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.67.601