12. 胸部大動脈人工血管置換術症例におけるクリオプレシピテートの有用性について

【目的】循環血液量を上回る大量出血に対し, 晶質液, 赤血球製剤やアルブミン製剤の投与のみを優先的に行うと, 止血のために必須の血小板や凝固因子が欠乏し希釈性凝固障害(低フィブリノゲン血症)を引き起こす事になる. 大量出血時にフィブリノゲン(Fib)が不足すると, 止血不全となることから, Fibの濃度を上げる必要があるが, 通常の新鮮凍結血漿(FFP)の輸血では, Fib濃度の改善は期待できない. そこで当院においてFFPよりFibを濃縮させたクリオプレシピテート(以下, クリオ)を作成し, その有用性を検討した. 【方法】FFP-LR-Ap(FFP-5)を冷蔵庫(4℃)でゆっくり解凍させ,...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本輸血細胞治療学会誌 2012, Vol.58 (1), p.88-89
Hauptverfasser: 国分寺晃, 郡谷哲男, 藤田典子, 入江玲子, 藤本珠何, 村田理恵, 池本純子, 前田和宏, 松下恵子, 藤盛好啓, 甲斐俊朗, 植木隆介, 下出典子, 多田羅恒雄, 太城力良
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】循環血液量を上回る大量出血に対し, 晶質液, 赤血球製剤やアルブミン製剤の投与のみを優先的に行うと, 止血のために必須の血小板や凝固因子が欠乏し希釈性凝固障害(低フィブリノゲン血症)を引き起こす事になる. 大量出血時にフィブリノゲン(Fib)が不足すると, 止血不全となることから, Fibの濃度を上げる必要があるが, 通常の新鮮凍結血漿(FFP)の輸血では, Fib濃度の改善は期待できない. そこで当院においてFFPよりFibを濃縮させたクリオプレシピテート(以下, クリオ)を作成し, その有用性を検討した. 【方法】FFP-LR-Ap(FFP-5)を冷蔵庫(4℃)でゆっくり解凍させ, 遠心後に上清(脱クリオ:約410ml)と沈殿物(クリオ:約40ml)に分離し, -30℃の冷凍庫で再凍結保存した. 胸部大動脈人工血管置換術症例において, 体外循環離脱後の凝固因子の補正をFFP投与のみ行ったFFP群とFFPとクリオとを併用したクリオ群との有用性を後方視的に検討した. 【結果】各群の15症例の術中における出血量・血液製剤使用量・凝固検査値に有意差は認めなかった. 術後(ICU入室後)におけるFFPの追加投与症例数・FFP投与量・24時間ドレーン出血量において, クリオ群が有意に少なかった(P
ISSN:1881-3011