3. 稀な不規則抗体が検出された予定手術患者の1例
術前に稀な不規則抗体が検出されると, 適合血の確保に問題が生じたりすることがある. 今回, 抗Fy(a)抗体が検出された症例を経験したので報告する. 【症例】右腎臓癌に対して腎臓摘出術が予定された75歳の男性. 【血液型】AB型, Rh(+). 【既往歴】64歳の時, クモ膜下出血のため, 他院にて脳動脈瘤クリッピング手術及び脳室腹腔シャント手術を受けた. 73歳, 急性膵炎. 【輸血歴】輸血歴無し. 【術前輸血計画】完全に適合する準備血を十分に確保することが出来なかったため, 自己血液を準備することにした. 手術前日に採血したが, 260ccしか貯血できなかった. 手術当日, 麻酔導入後,...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血細胞治療学会誌 2011, Vol.57 (3), p.220-220 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 術前に稀な不規則抗体が検出されると, 適合血の確保に問題が生じたりすることがある. 今回, 抗Fy(a)抗体が検出された症例を経験したので報告する. 【症例】右腎臓癌に対して腎臓摘出術が予定された75歳の男性. 【血液型】AB型, Rh(+). 【既往歴】64歳の時, クモ膜下出血のため, 他院にて脳動脈瘤クリッピング手術及び脳室腹腔シャント手術を受けた. 73歳, 急性膵炎. 【輸血歴】輸血歴無し. 【術前輸血計画】完全に適合する準備血を十分に確保することが出来なかったため, 自己血液を準備することにした. 手術前日に採血したが, 260ccしか貯血できなかった. 手術当日, 麻酔導入後, 希釈法により更に400cc採血した. それ以外に, AB型Rh(+)Fy(a-)の凍結赤血球400ccを長野県外の輸血センターから確保することが出来た. 【周術期】とくにトラブル無く腎茎部の処置も済み, 総出血量は379gであった. 手術時間1時間44分, 麻酔時間2時間45分. 尿量400cc, 輸液1450cc. 術前に貯血した自己血のみ返血し, 同種血輸血を行うことなく対処することが出来た. 【考察】日本人では, Fy(a-)が1%と少ない. Rh抗原などに比べ抗原性が弱いため, 輸血トラブルの原因になることは比較的少ないとされている. しかし, 稀に溶血性副作用の症例報告もあるため, 適合血の輸血が優先されるが, 適合血の確保に苦労することもあり留意が必要である. 【結語】術前に, 自己血の採取を行うことで術前準備血を増やすことができ, 安心して手術に臨むことが出来た. |
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ISSN: | 1881-3011 |