保存中に血小板より遊離する輸血副作用関連物質の吸着ビーズによる除去に関する検討

[背景]最近の研究によると,保存中に血小板から遊離する生理活性物質が輸血副作用に関与していると報告されている.洗浄血小板や人工保存液置換血小板(約30%の血漿を含む)は輸血副作用を減少させると報告されているが,洗浄血小板は調製操作が煩雑であり,人工保存液置換血小板では完全に輸血副作用を防ぐことはできない. [目的]今回,4種類のセルロース・ビーズを用いて,保存中に血小板から遊離・蓄積する生理活性物質であるsoluble CD40 ligand(sCD40L),regulated upon activation,normal T-cell expressed,and secreted(RANTE...

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Veröffentlicht in:日本輸血細胞治療学会誌 2011, Vol.57(3), pp.188-196
Hauptverfasser: 田中, 成憲, 林, 智也, 谷, 慶彦, 平山, 文也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:[背景]最近の研究によると,保存中に血小板から遊離する生理活性物質が輸血副作用に関与していると報告されている.洗浄血小板や人工保存液置換血小板(約30%の血漿を含む)は輸血副作用を減少させると報告されているが,洗浄血小板は調製操作が煩雑であり,人工保存液置換血小板では完全に輸血副作用を防ぐことはできない. [目的]今回,4種類のセルロース・ビーズを用いて,保存中に血小板から遊離・蓄積する生理活性物質であるsoluble CD40 ligand(sCD40L),regulated upon activation,normal T-cell expressed,and secreted(RANTES)及びtransforming growth factor-β1(TGF-β1)の吸着除去について検討した. [方法]濃厚血小板製剤(PC)を10日間保存し,保存期間中の上記生理活性物質の蓄積濃度をELISA法により測定した.次に,10日間保存したPC由来の血漿及び5日間保存したPCを用いて,4種類の吸着ビーズでの吸着処理(3時間)後の上記生理活性物質の濃度をELISA法にて測定した.更に,2日間または5日間保存したPCを用いて,吸着処理後のPCの品質について評価した. [結果]上記3種類の生理活性物質の血漿中の濃度は,保存とともに増加した.4種類のセルロース・ビーズの中で,A:硫酸エステルを有するビーズ,及びB:リン酸エステルを有するビーズはsCD40L及びRANTESを効率的に除去し,TGF-β1を部分的に除去した. このA,Bのビーズで処理することによる血小板活性化はほとんど認められなかったが,血小板濃度は処理後に一部低値を示した. [結論]今回の検討により,セルロースビーズA及びBは,保存中に蓄積した3種類の生理活性物質を効率的に除去できることが示された.今後は,この方法が輸血副作用の防止に有効であるかどうか確認するために,更なるin vitro及びin vivoの実験が必要である.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.57.188