パイロット研究による輸血副作用の解析―我国における包括的なヘモビジランスの構築に向けて

輸血療法は有効かつ必須の治療法であるが,血液製剤は他人の血液を原料とするため,輸血副作用を完全には回避できない.このため,輸血副作用に関する可及的速やかな実態把握とその対策が必要と考えられる.本研究ではオンラインによる副作用報告システムのパイロット研究を開始し,収集したデータを解析,検討した.2007年より7大学病院を対象に本研究を開始し,2009年から小規模(300床以下)の5施設を加えて,輸血量,副作用件数を2カ月間隔で収集した.尚,本研究では2007年1月から3年間の結果を報告する. 輸血副作用の発生率はバッグ当り1.50%であり,我が国の輸血副作用発生頻度を反映していると考えられた.ま...

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Veröffentlicht in:日本輸血細胞治療学会誌 2011, Vol.57(3), pp.178-183
Hauptverfasser: 加藤, 栄史, 高本, 滋, 小高, 千加子, 佐川, 公矯, 星, 順隆, 藤井, 康彦, 米村, 雄士, 岩尾, 憲明, 田中, 朝志, 岡崎, 仁, 百瀬, 俊也, 北澤, 淳一, 森, 宏, 松下, 明夫, 野村, 久子, 八十嶋, 仁, 大日, 康史, 岡田, 義昭, 浜口, 功, 山口, 一成
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:輸血療法は有効かつ必須の治療法であるが,血液製剤は他人の血液を原料とするため,輸血副作用を完全には回避できない.このため,輸血副作用に関する可及的速やかな実態把握とその対策が必要と考えられる.本研究ではオンラインによる副作用報告システムのパイロット研究を開始し,収集したデータを解析,検討した.2007年より7大学病院を対象に本研究を開始し,2009年から小規模(300床以下)の5施設を加えて,輸血量,副作用件数を2カ月間隔で収集した.尚,本研究では2007年1月から3年間の結果を報告する. 輸血副作用の発生率はバッグ当り1.50%であり,我が国の輸血副作用発生頻度を反映していると考えられた.また,血小板製剤(PC)の副作用発生率が4.34%と他の2製剤に比して約6倍の高頻度であり,一因として頻回輸血に伴う同種抗体の産生など免疫学的機序が関与することが推察された.一方,各施設における診療疾患の相違により副作用発生頻度に差異が認められた. 本研究で構築したシステムは,輸血副作用の現状を正確に把握するために有用であり,広く普及させることで,よりよいヘモビジランスの構築に貢献できると考えられる.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.57.178