3. 抗AI抗体により血液型判定に苦慮した1症例
【はじめに】ABO血液型検査において, オモテ・ウラ試験不一致となり, 精査の結果, 抗AI抗体と思われる抗体が見出された症例を経験したので報告する. 【患者情報】81歳女性. 輸血歴なし. 妊娠歴あり. 意識障害にて救急搬送. 脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を認め, 緊急開頭クリッピング術の適応となり, 術前検査として血液型検査が依頼された. 【検査結果】オモテ試験抗A(4+)抗B(4+), ウラ試験A1血球(4+)B血球(0)O血球(0)と不一致となった. 追加試験としてA1レクチン(4+), A2血球(2+), 不規則抗体スクリーニング陰性となり, 何らかの不規則性抗A抗体を保有している...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血細胞治療学会誌 2011, Vol.57 (1), p.64-64 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】ABO血液型検査において, オモテ・ウラ試験不一致となり, 精査の結果, 抗AI抗体と思われる抗体が見出された症例を経験したので報告する. 【患者情報】81歳女性. 輸血歴なし. 妊娠歴あり. 意識障害にて救急搬送. 脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を認め, 緊急開頭クリッピング術の適応となり, 術前検査として血液型検査が依頼された. 【検査結果】オモテ試験抗A(4+)抗B(4+), ウラ試験A1血球(4+)B血球(0)O血球(0)と不一致となった. 追加試験としてA1レクチン(4+), A2血球(2+), 不規則抗体スクリーニング陰性となり, 何らかの不規則性抗A抗体を保有している可能性が示唆されたが, 院内では同定不能であった. 臨床側と相談, 手術は無輸血で可能と思われ, 後日, 広島県赤十字血液センターへ精査を依頼することとした. 【経過】術中, 術後は無輸血にて経過していたが, 術後五日目の採血にて貧血進行を認めたため, 精査の結果を待たず, 交差適合試験で反応しないB型赤血球製剤を使用することとした. 計6単位の輸血を行った. 【精査結果】型転移酵素はA, Bともに認められAB型と判定, ウラ試験の反応はAi血球, Oi血球, 臍帯血などとの反応より, 抗AI抗体, 抗I抗体(IgM型)と同定された. 【考察】B型赤血球製剤を使用したが, 精査の結果, 抗AI抗体はIgM型であったため, AB型赤血球輸血で問題なかった可能性もある. 抗AI抗体は報告例も少なく, 明記されている文献も少ないが, 血液型オモテ・ウラ不一致の一因として考慮する必要がある. |
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ISSN: | 1881-3011 |