11. 血小板輸血時にアナフィラキシー症状を呈しトリプターゼ上昇を認めた2例
トリプターゼは肥満細胞が脱顆粒を起したときに血中に放出され, アナフィラキシー発症に関与する酵素である. 当院での血小板輸血時にアナフィラキシー症状を呈し, 血液検査にてトリプターゼ上昇を認めた2例につき報告する. 自験例2例とも急性骨髄性白血病に対し化学療法を行い, 支持療法として白血球除去濃厚血小板輸血をハイドロコルチゾンによる前処置を併用して行なった. 1例目は42歳男性(M2)で, 輸血開始30分後に呼吸困難と心窩部痛が出現. 顔面の腫脹と全身の膨隆疹を認めた. 2例目は62歳男性(M4Eo)で, 輸血開始15分後に全身の掻痒感が出現. 全身に膨隆疹を認め, 粘膜浮腫による鼻閉をきたし...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血細胞治療学会誌 2011, Vol.57 (1), p.59-59 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | トリプターゼは肥満細胞が脱顆粒を起したときに血中に放出され, アナフィラキシー発症に関与する酵素である. 当院での血小板輸血時にアナフィラキシー症状を呈し, 血液検査にてトリプターゼ上昇を認めた2例につき報告する. 自験例2例とも急性骨髄性白血病に対し化学療法を行い, 支持療法として白血球除去濃厚血小板輸血をハイドロコルチゾンによる前処置を併用して行なった. 1例目は42歳男性(M2)で, 輸血開始30分後に呼吸困難と心窩部痛が出現. 顔面の腫脹と全身の膨隆疹を認めた. 2例目は62歳男性(M4Eo)で, 輸血開始15分後に全身の掻痒感が出現. 全身に膨隆疹を認め, 粘膜浮腫による鼻閉をきたした. 2例ともに症状出現後ただちに輸血を中止し, メチルプレドニゾロン投与とヒスタミンブロックを行ない, 自他覚症状の改善をみとめた. 輸血前後の血清中トリプターゼ値はそれぞれ2.2→13, 6.9→23.7(ng/ml)と上昇をみとめた. いずれの症例も, 主な抗血漿タンパク質抗体は陰性であり, 血漿タンパク質(IgAなど)の欠損も認めなかった. 輸血前にはトリプターゼ値は正常範囲であり, 血小板輸血が誘引となってトリプターゼが上昇しアナフィラキシー症状を呈したと考えられる. |
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ISSN: | 1881-3011 |