酵素法のみで反応が見られたmimicking抗Sの3例

間接抗グロブリン法陰性で酵素法のみで反応し,抗Sと同定された3症例を経験し,mimicking抗Sと証明したので報告する. S抗原は酵素で破壊され通常は酵素法では検出できないため,同種抗Sではなくmimicking抗Sを疑い精査した.同種抗SであればS抗原陽性血球のみで吸着されS抗原陰性血球では吸着されないが,mimicking抗SであればS抗原陽性血球と陰性血球の両方で吸着されるため,証明方法として,抗体の吸着試験を実施した.結果は,3症例とも両方の血球で吸着されたことからmimicking抗Sと証明された.今回提示した3例のうち,1症例は輸血を受けず,1症例でS抗原陰性血20単位が輸血され...

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Veröffentlicht in:日本輸血細胞治療学会誌 2010, Vol.56(4), pp.489-494
Hauptverfasser: 猪股, 真喜子, 山口, 千鶴, 奥津, 美穂, 奥村, 亘, 富樫, ルミ, 長沼, 良子, 沼澤, ひろみ, 渡會, 通宜, 安田, 広康, 北澤, 淳一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:間接抗グロブリン法陰性で酵素法のみで反応し,抗Sと同定された3症例を経験し,mimicking抗Sと証明したので報告する. S抗原は酵素で破壊され通常は酵素法では検出できないため,同種抗Sではなくmimicking抗Sを疑い精査した.同種抗SであればS抗原陽性血球のみで吸着されS抗原陰性血球では吸着されないが,mimicking抗SであればS抗原陽性血球と陰性血球の両方で吸着されるため,証明方法として,抗体の吸着試験を実施した.結果は,3症例とも両方の血球で吸着されたことからmimicking抗Sと証明された.今回提示した3例のうち,1症例は輸血を受けず,1症例でS抗原陰性血20単位が輸血されたが溶血性輸血副作用は見られなかった.また他の1症例は妊婦であったが,妊娠経過中に抗体価の上昇は見られず,新生児溶血性疾患も認めなかった.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.56.489