8. 市立旭川病院で経験したABO不適合臍帯血移植症例の血液型の解析

【目的】 ABO不適合臍帯血移植後の生着は白血球数で見るが, 赤血球において移植後同型血を輸血すると血液型の変化が分かりにくく, どの様に反応が変化するか不明であった. 今回, 輸血製剤由来でない赤血球を確認する指標として血液型の移行を分析し検討をおこなった. 【症例提示】 48歳, 男性, AB型RhD(+), 平成17年8月に当院血液内科に入院, 日本臍帯血バンクを介したHLA一座不一致の臍帯血移植を受けた. DonorはB型であり移植後はB型赤血球製剤, AB型濃厚血小板, AB型新鮮凍結血漿を施行した. 【方法】 赤血球のB抗原量と網状赤血球をFlow Cytometry法で, RDW...

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Veröffentlicht in:日本輸血細胞治療学会誌 2008, Vol.54 (6), p.642-642
Hauptverfasser: 長瀬政子, 高木奈央, 中川正彦, 三宅高義, 柿木康孝, 千葉広司
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】 ABO不適合臍帯血移植後の生着は白血球数で見るが, 赤血球において移植後同型血を輸血すると血液型の変化が分かりにくく, どの様に反応が変化するか不明であった. 今回, 輸血製剤由来でない赤血球を確認する指標として血液型の移行を分析し検討をおこなった. 【症例提示】 48歳, 男性, AB型RhD(+), 平成17年8月に当院血液内科に入院, 日本臍帯血バンクを介したHLA一座不一致の臍帯血移植を受けた. DonorはB型であり移植後はB型赤血球製剤, AB型濃厚血小板, AB型新鮮凍結血漿を施行した. 【方法】 赤血球のB抗原量と網状赤血球をFlow Cytometry法で, RDW, MCVを電気抵抗法で, HbFを染色法で測定し比較した. 【結果】 Day32に好中球生着, Day40に網状赤血球増加を確認した. Flow Cytometry法のB型血球は正常B型血球より抗原性の低下したB型血球が存在し2峰性を示し, 経過とともに変化が見られ, 弱抗原性のB球はDay54に182%, Day82に43.6%になった. AB型血球は減少し, 正常B型血球は変化が少なかった. 2峰性のB球が出現した期間MCVとRDWの上昇が認められた. HbFは染色法で陽性率を確認した. Day40頃より増加し始めDay82に44%になり, その後減少傾向にある. 【考察】 一般的にCBT時の生着は長期化すると言われており, 貧血があり同型血の輸血を長期に受けた場合, 血中の赤血球が輸血した赤血球によるものか, 臍帯血の生着によるものなのかは試験管法やカラム凝集法では推定が困難である. Flow Cytometry法は従来の試験管法やカラム凝集法より鋭敏に定量でき, また抗原性の強弱も確認できることより, 2峰性になることはすでに述べられているが, 本症例のように抗原性の違いにより分離できれば, 診断の一助となるのではないかと考える. またHbF染色は, 特殊な装置を必要としないで測定でき, 経過観察や判定に有用と思われる.
ISSN:1881-3011