3. 危機的出血をめぐる諸問題:救命救急センターにおける対策-特に大量出血を伴う外傷例
当センターは独立型救命センターとして, 重症救急患者の初期診療から根治的治療までを提供している. 危機的出血を伴う疾患の代表は外傷であり, 来院時すでに大量出血から重篤な出血性ショックの状態で搬入される症例も多く, 救命には緊急輸血が不可欠である. 出血を伴う外傷の治療戦略は, 初期輸液療法(成人で1~2リットルの細胞外液補充液の急速投与)に対する反応性で決定される. 初期輸液に循環動態が反応しない症例(無反応群)では, 直ちに輸血の準備をし, 止血術を考慮する. 来院時収縮期血圧が90mmHg以下であった鈍的外傷99例の検討によると, 無反応群は39例で, 来院後24時間に平均38単位(最大...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血細胞治療学会誌 2008, Vol.54 (1), p.66-66 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 当センターは独立型救命センターとして, 重症救急患者の初期診療から根治的治療までを提供している. 危機的出血を伴う疾患の代表は外傷であり, 来院時すでに大量出血から重篤な出血性ショックの状態で搬入される症例も多く, 救命には緊急輸血が不可欠である. 出血を伴う外傷の治療戦略は, 初期輸液療法(成人で1~2リットルの細胞外液補充液の急速投与)に対する反応性で決定される. 初期輸液に循環動態が反応しない症例(無反応群)では, 直ちに輸血の準備をし, 止血術を考慮する. 来院時収縮期血圧が90mmHg以下であった鈍的外傷99例の検討によると, 無反応群は39例で, 来院後24時間に平均38単位(最大92単位)の輸血を必要とした. さらに, 無反応群の初期輸液療法は30分以内に終了しており, 30分以内の輸血開始が必要であった. また, 大量輸液による希釈性凝固障害等による出血傾向のため, 出血のコントロールには止血操作に加え血小板・FFPの早期補充が必要となる. 当センターでは, 緊急用に赤血球濃厚液O型3単位, A型3単位, B型2単位, AB型1単位, 新鮮凍結血漿すべての血型それぞれ10単位をストックし, 止むを得ない場合にはクロスマッチ終了前の輸血やO型RhD(+)の異型輸血を許容している. さらに, 地域の血液センターの協力のもと, 緊急時の迅速な血液供給体制が必要である. |
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ISSN: | 1881-3011 |