17. 冷式抗体保有患者へのランダム輸血後の調査

【目的】当院では臨床的意義の低い冷式抗体保有患者についてはランダムに輸血を実施している. 今回, それらの患者の副作用の有無を検討した. 【対象・方法】2007.4.23~6.10までに, 当院にて赤血球輸血を行った138名のうち保管血清が確保できた125名の保有抗体を検査した. それら125名の中で, 冷式抗体を保有していた17名を対象とし, 冷式抗体の保有頻度を検討した. さらに, 対象患者に用いられた赤血球製剤の抗原を精査し, 抗原陽性血を輸血した患者の有害事象を調査した. 【結果】冷式抗体保有患者は, 保管血清が確保できた125名の13.6%に当たる17名であった. 検出された冷式抗体...

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Veröffentlicht in:日本輸血細胞治療学会誌 2007, Vol.53 (6), p.640-640
Hauptverfasser: 花田大輔, 森清香, 渋佐琴恵, 友田豊, 武田悟, 紀野修一, 伊藤喜久, 向野美智代, 脇坂明美, 池田久實
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】当院では臨床的意義の低い冷式抗体保有患者についてはランダムに輸血を実施している. 今回, それらの患者の副作用の有無を検討した. 【対象・方法】2007.4.23~6.10までに, 当院にて赤血球輸血を行った138名のうち保管血清が確保できた125名の保有抗体を検査した. それら125名の中で, 冷式抗体を保有していた17名を対象とし, 冷式抗体の保有頻度を検討した. さらに, 対象患者に用いられた赤血球製剤の抗原を精査し, 抗原陽性血を輸血した患者の有害事象を調査した. 【結果】冷式抗体保有患者は, 保管血清が確保できた125名の13.6%に当たる17名であった. 検出された冷式抗体の内訳では抗Leaが35.6%と最も多く, ついで抗P1, 抗Lea+bがそれぞれ17.6%, 抗Lea+抗P1が11.8%, 抗Leb, 抗Leb+抗P1, 抗Mがそれぞれ5.9%であった. 対象とした17名のうち13名が抗原陽性血を輸血しており, 平均輸血単位数は4.5±1.1単位であった. 抗原陽性血を輸血した冷式抗体保有患者において, 輸血前後のT-Bil, LDH, Kなどの検査成績から溶血を示唆する所見は得られなかった. 調査対象期間に当該患者の輸血副作用に関する報告はなかった. 【考察】臨床的意義が低いと言われている冷式抗体保有患者にランダム輸血を実施しても副作用が発生していないことを再認識した. 未だ, 冷式抗体保有患者への輸血対応に施設間で差があるが, 今回の成績から37℃で反応しない冷式抗体保有患者への抗原陽性血輸血を問題視する必要はなく, ランダムに輸血をする方針を変更する必要は無いと考えられた. 臨床的意義がないと考えられている冷式抗体が交差適合試験の障害になっていることへの明快な解決策提示が望まれる.
ISSN:1881-3011