北海道における試行的HEV NATスクリーニングの実施

【目的】2002年に我々は輸血用血液によって伝播したと考えられた本邦初のE型急性肝炎症例を経験した. その後, 北海道内の肝機能高値献血者群から高頻度にHEVが検出されたことから, 2005年より北海道の全献血者を対象にHEV NATスクリーニングを研究試行的に実施してきた. 今回, 献血者群におけるHEV RNA陽性例の詳細および陽性血液を輸血された患者症例について併せて報告する. 【方法】2005年1月から2006年2月までの北海道内の全献血者について, 20プールHEV NATスクリーニングを実施し, HEV RNA陽性者にはさらに喫食歴アンケート調査を行った. またHEV輸血症例は,...

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Hauptverfasser: 坂田秀勝, 松林圭二, 徳島恵里奈, 田中聖子, 深井寛治, 佐藤進一郎, 加藤俊明, 池田久實
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】2002年に我々は輸血用血液によって伝播したと考えられた本邦初のE型急性肝炎症例を経験した. その後, 北海道内の肝機能高値献血者群から高頻度にHEVが検出されたことから, 2005年より北海道の全献血者を対象にHEV NATスクリーニングを研究試行的に実施してきた. 今回, 献血者群におけるHEV RNA陽性例の詳細および陽性血液を輸血された患者症例について併せて報告する. 【方法】2005年1月から2006年2月までの北海道内の全献血者について, 20プールHEV NATスクリーニングを実施し, HEV RNA陽性者にはさらに喫食歴アンケート調査を行った. またHEV輸血症例は, NAT陽性が判明する前に輸血された7例を対象とした. 各陽性献血者および患者検体について, Real-time RT-PCR法によりHEV RNA定性, 定量およびgenotype検査を実施した. また市販キットを用いて, HEV IgMおよびIgG抗体検査を行った. 【成績】HEV RNAは献血者341,175例中45例(0.013%)から検出された. また32例(71.1%)は当該献血の3ヶ月以内にレバーやホルモン等の動物内臓肉を摂取していた. HEV genotypeはG3:G4=42:2で, 同一時期に同一地域で検出された株は高い相同性が認められた. 一方, 受血患者7例中HEV感染成立は2例, 未感染2例, 不明3例(原疾患で死亡)であった. 感染例の原因血はいずれもHEV抗体陰性で, 輸血されたウイルス量は未感染例のものに比べ高値傾向を示した. 感染例の2患者のうち, 1例は急性肝炎を発症したが, もう1例は不顕性感染様の経過を示した. 【結論】現在, 北海道内の献血者については研究試行的にHEV NATスクリーニングを実施し, HEVRNA陽性血を排除している. しかし, 輸血用血液へのHEV混入を未然に防止するためには, HEV感染経路の究明とその抜本的な感染防止対策が必要と考える.
ISSN:1881-3011