3. 7D5単クローン抗体を用いた慢性肉芽腫症における骨髄移植後のキメリズム解析

【はじめに】慢性肉芽腫症は食細胞のNADPHオキシダーゼの異常による遺伝性免疫不全症である. 根治療法として骨髄移植が行われるようになったが, 移植関連合併症や生着不全などの問題があり, 移植後のキメリズム解析は極めて重要である. 今回, 骨髄移植を施行した慢性肉芽腫症の患者において, 好中球活性酸素産生能と, NADPHオキシダーゼ構成蛋白を7D5(抗ヒトフラボシトクロム558単クローン抗体)を用いたフローサイトメトリーにて, 移植後のキメリズム解析を行ったので報告する. 【症例】26歳男性. 生後6か月で慢性肉芽腫症と診断された. その後も, 肛門周囲膿瘍や肺炎などを繰り返したが抗生剤にて...

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Veröffentlicht in:日本輸血細胞治療学会誌 2006, Vol.52 (6), p.733-734
Hauptverfasser: 亀谷真由美, 平岡朝子, 栗田絵美, 小野寺利恵, 水野真美, 井上睦美, 柏原真由, 藤井輝久, 齊藤誠司, 高田昇, 三木瑞香, 小林正夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】慢性肉芽腫症は食細胞のNADPHオキシダーゼの異常による遺伝性免疫不全症である. 根治療法として骨髄移植が行われるようになったが, 移植関連合併症や生着不全などの問題があり, 移植後のキメリズム解析は極めて重要である. 今回, 骨髄移植を施行した慢性肉芽腫症の患者において, 好中球活性酸素産生能と, NADPHオキシダーゼ構成蛋白を7D5(抗ヒトフラボシトクロム558単クローン抗体)を用いたフローサイトメトリーにて, 移植後のキメリズム解析を行ったので報告する. 【症例】26歳男性. 生後6か月で慢性肉芽腫症と診断された. その後も, 肛門周囲膿瘍や肺炎などを繰り返したが抗生剤にて軽快, 24歳で多発性脳膿瘍, 重症肺炎を合併し, 一時は多臓器不全に陥るも集中治療にて救命された. 根治療法を目的に当院小児科に入院し, HLA一致の姉から骨髄移植を施行した. 【結果】移植前は好中球活性酸素産生能:1.33%, 7D5:1.79%と陰性であったが, 移植後徐々に上昇し, 28日後にはそれぞれ39.4%, 55.3%であった. 【考察】7D5の測定法は簡便で, 短時間で検査が可能であり, リアルタイムに患者好中球のキメリズムを把握できるという利点がある. また好中球の機能をみる上で活性酸素産生能は重要であるが, 膜タンパクの発現をみる7D5の測定は移植後の生着の指標として有用であると考えられる.
ISSN:1881-3011