18. 不規則性抗体以外の要因により交差適合試験が不適合を呈した新生児4例
【目的】交差適合試験にて不適合を呈する要因として大部分は患者血清中に認められる不規則性抗体の存在であり, 患者本人の内因性による場合である. しかし, 今回交差適合試験にて不適合を呈した4症例について精査を行ったところすべて患者本人が原因ではなく外因性による要因であることが判明したので報告する. 【対象】症例1:0歳の男児. 血液型A型. 同型のA型のMAP1本をポリエチレングリコール, クームス法(Peg-IAT法)にて交差適合試験を行ったが不適合を呈した. 症例2:0歳の男児. 血液型A型. 出生前の検査にて母親から抗Eが検出されていることから同型のA型でE抗原(-)のMAP3本をPeg-...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 2006, Vol.52 (1), p.107-107 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 【目的】交差適合試験にて不適合を呈する要因として大部分は患者血清中に認められる不規則性抗体の存在であり, 患者本人の内因性による場合である. しかし, 今回交差適合試験にて不適合を呈した4症例について精査を行ったところすべて患者本人が原因ではなく外因性による要因であることが判明したので報告する. 【対象】症例1:0歳の男児. 血液型A型. 同型のA型のMAP1本をポリエチレングリコール, クームス法(Peg-IAT法)にて交差適合試験を行ったが不適合を呈した. 症例2:0歳の男児. 血液型A型. 出生前の検査にて母親から抗Eが検出されていることから同型のA型でE抗原(-)のMAP3本をPeg-IAT法にて交差適合試験を行ったが3本すべて不適合を呈した. 症例3:1.3歳の男児. 血液型B型. 同型のB型のMAP1本をPeg-IAT法にて交差適合試験を行ったが不適合を呈した, 症例4:0.9歳の男児. 血液型B型. 同型のB型のMAP3本をPeg-IAT法にて交差適合試験を行ったが3本すべて不適合を呈した. 【成績】症例1:母親の不規則性抗体が陰性で, 血液型がO型であることから母親由来の抗Aによる交差適合試験の不適合が疑われ, 血液型O型のMAPを用いて再度Peg-IAT法にて交差適合試験を行ったところ適合となった. 症例2:母親が抗Eを保有しており, 血液型がO型であることから母親由来の抗E以外の抗Aによる交差適合試験の不適合が疑われ, 血液型O型でE抗原(-)のMAP3本をPeg-IAT法にて再度交差適合試験を行ったところ適合となった. 症例3:患者は今回の交差適合試験が追加分の輸血の検査であり以前に同型のB型のMAPにて交差適合試験を行ったところ適合であり抗Bによる不適合は考えにくかった. そこで, 今回不適合であったMAP製剤について直接抗グロブリン試験(DAT)を行ったところ陽性を呈した. MAP製剤のDAT陽性が交差適合試験不適合の要因と考えられ同型のB型の別ロットのMAPを用いてPeg-IAT法にて再度交差適合試験を行ったところ適合となった. 症例4:患者は交差適合試験前に行われた不規則性抗体検査が陰性であったことから医療サイドへ問い合わせを行い患者情報を得たところ患者は血漿分画製剤であるγグロブリン製剤を大量に使用していたことが判明した. そこでγグロブリン製剤中の抗Bによる不適合が考えられ血液型O型のMAP3本をPeg-IAT法にて再度交差適合試験を行ったところ全て適合となった. 【まとめ】今風交差適合試験にて不適合を呈した4症例を経験した. 症例1および症例2は母親由来の抗Aが不適合の要因であった. 症例3は交差適合試験に用いたMAP製剤のDAT陽性が不適合の要因であった. 症例4は治療に使用した大量のγグロブリン製剤中の抗Bが不適合の要因であった. 新生児への輸血は大部分が緊急性を有することから交差適合試験が不適合を呈した場合はその要因を早急に解明する必要がある. 医療サイドからの患者の基礎疾患, 輸血歴, 使用薬剤, 母親の血液型, 不規則性抗体の有無についての情報収集は重要であった. |
---|---|
ISSN: | 0546-1448 |