6. ヒトパルボウイルスB19の不活化の検討

【目的】これまでヒトパルボウイルスB19(以後, B19)の感染価を測定する系は無く, 血漿分画製剤の製造工程におけるB19の不活化効果の評価は不可能であった. 最近になりKU812細胞を使用した感染価の測定方法が確立されたことから, B19に対する不活化効果の評価が可能となった. そこで, 血漿分画製剤で使用されているパスツリゼーション工程と低pH処理におけるB19の不活化効果を検討した. 【方法】B19の感染価測定は, 指示細胞としてKU812細胞(ヒューマンサイエンス研究資源バンク製)を使用し, B19添加サンプルを10倍の希釈系列を作成し接種した. 5%CO2, 37℃で5日間の培養を...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 2006, Vol.52 (1), p.60-61
Hauptverfasser: 村井活史, 前野英毅, 白川幸子, 武田芳於, 室塚剛志, 谷藤正明, 脇坂明美, 伴野丞計
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】これまでヒトパルボウイルスB19(以後, B19)の感染価を測定する系は無く, 血漿分画製剤の製造工程におけるB19の不活化効果の評価は不可能であった. 最近になりKU812細胞を使用した感染価の測定方法が確立されたことから, B19に対する不活化効果の評価が可能となった. そこで, 血漿分画製剤で使用されているパスツリゼーション工程と低pH処理におけるB19の不活化効果を検討した. 【方法】B19の感染価測定は, 指示細胞としてKU812細胞(ヒューマンサイエンス研究資源バンク製)を使用し, B19添加サンプルを10倍の希釈系列を作成し接種した. 5%CO2, 37℃で5日間の培養を行い, 各ウエルにおいて, KU812細胞中に発現したB19の構成蛋白質であるVP2のmRNAを測定し感染の有無を確認した. その結果から感染価を求めた. パスツリゼーション工程は, 20%アルブミンにBl9陽性血漿を添加し, 60℃まで加熱を行った. 60℃に達した後, 一定時間ごとにサンプリングを行い感染価の変化を確認した. 低pH処理は, 酢酸緩衝液中にB19陽性血漿を添加し, 添加後の感染価の変化を確認した. 【結果】パスツリゼーション工程では, 60℃に達した後30分でB19の感染価は検出限界以下まで低下した. また, 低pH処理は, pH3.1では, 2時間後にpH3.8では, 2日後にB19の感染価が検出限界以下になることが確認された. 【考察】最近, B19はエリスロウイルスの一種と考えられ, 熱耐性がそれほど無いと報告されている. 今回の検討も, B19は熱に弱いことを示す結果となった. さらに, 酢酸による低pH処理においても, B19は酸に対する抵抗性が低いことを確認することが出来た. このことから, 血漿分画製剤の製造工程であるパスツリゼーション工程と低pH処理工程は, B19の不活化に有効であることが示された.
ISSN:0546-1448