5. 依頼検査からみた医療機関における不規則抗俸検査の現状

【目的】北海道赤十字血液センターでは, 平成11年4月より不規則抗体同定の依頼検査を原則廃止し, 電話等による技術的なサポートを行いながら医療機関で同定不能となった症例に限定して技術協力を行ってきた. 今回, 過去8年間の依頼検査の動向から医療機僕における不規則抗体検査の現状について報告する. 【方法】平成9~16年度までの不規則抗体同定依頼1,287件を対象に, 検査結果から陰性, 自己抗体(寒冷, 温式), 同種抗体(単一, 複合, 高頻度抗原に対する抗体)に分類し, それぞれの動向を調査した. 【結果】依頼検査の廃止前後で年間の平均依頼数を比較すると, 廃止前が355件であったのに対し,...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 2006, Vol.52 (1), p.60-60
Hauptverfasser: 福地信昭, 石丸健, 大橋恒, 加藤俊明, 池田久實
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】北海道赤十字血液センターでは, 平成11年4月より不規則抗体同定の依頼検査を原則廃止し, 電話等による技術的なサポートを行いながら医療機関で同定不能となった症例に限定して技術協力を行ってきた. 今回, 過去8年間の依頼検査の動向から医療機僕における不規則抗体検査の現状について報告する. 【方法】平成9~16年度までの不規則抗体同定依頼1,287件を対象に, 検査結果から陰性, 自己抗体(寒冷, 温式), 同種抗体(単一, 複合, 高頻度抗原に対する抗体)に分類し, それぞれの動向を調査した. 【結果】依頼検査の廃止前後で年間の平均依頼数を比較すると, 廃止前が355件であったのに対し, 廃止後は96件に減少した. これを検査結果別でみると, 陰性は80件から11件, 寒冷自己抗体は41件から8件, 単一および2種類の複合抗体は186件から24件へと大幅に減少した. 一方, 温式自己抗体は35件から36件, 3種類以上の複合抗体は7件から6件と変化はみられなかった. また, 高頻度抗原に対する抗体についても8件から12件と変化はみられなかったが, 平成15年度と16年度にはそれぞれ16件, 25件と増加傾向を示し, 以前は検出されることがまれであった抗JMH, KANNO, Ch/Rg抗体が3割近くを占めた. これらの抗体の殆どはアルブミン, クームス法では検出できない低凝集力抗体であったが, 依頼元の医療機関ではPEG法やカラム凝集法といった高感度法が用いられていた. 【考察】現在の依頼検査は, 冷式自己抗体や単一同種抗体の依頼数が激減し, 温式自己抗体や複合抗体更には高頻度抗原に対する抗体といった通常では同定困難な臨床的に重要な症例が中心となった. この背景には, 血液センターのサポートとともに医療機関や検査センターにおける技術レベルの向上が大きく関与していると思われた. 今後は, 新たな検査法の導入に伴う結果の解釈等, 更に複雑化することが予想されるため, 血液センターは地域のリファレンス, ラボとして医療機関との緊密な協力体制がより重要になると思われる.
ISSN:0546-1448