16. clini MACS(磁気ビーズ)を用いたCD133陽性幹細胞分離の経験

Clini MACS(MiltenyiBiotec GmbH, Germany)は患者やドナーの骨髄末梢血等から特定の細胞を磁気ビーズによって無菌的に分離する事が可能なシステムである. 現在臨床的スケールで使用可能な抗体として抗CD34抗体, 抗CD133抗体, 抗CD14抗体が提供され, 血液疾患に対する自己造血幹細胞移植に際する腫瘍細胞除去および同種造血幹細胞移植の際のT細胞除去(CD34, CD133), 自己免疫疾患に対する幹細胞移植の際のT, B細胞除去(CD34)に用いられており, 樹状細胞を使用した癌免疫療法, GVLの誘導あるいは免疫抑制療法への応用(CDI4)も期待される....

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 2005, Vol.51 (1), p.65-66
Hauptverfasser: 古川良尚, 舞木弘幸, 肥後恵子, 出口紀子, 吉田泰代, 小浜浩介, 政元いずみ, 黒木辰雄, 伊地知修, 河野嘉文, 丸山征郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:Clini MACS(MiltenyiBiotec GmbH, Germany)は患者やドナーの骨髄末梢血等から特定の細胞を磁気ビーズによって無菌的に分離する事が可能なシステムである. 現在臨床的スケールで使用可能な抗体として抗CD34抗体, 抗CD133抗体, 抗CD14抗体が提供され, 血液疾患に対する自己造血幹細胞移植に際する腫瘍細胞除去および同種造血幹細胞移植の際のT細胞除去(CD34, CD133), 自己免疫疾患に対する幹細胞移植の際のT, B細胞除去(CD34)に用いられており, 樹状細胞を使用した癌免疫療法, GVLの誘導あるいは免疫抑制療法への応用(CDI4)も期待される. 今回腫瘍細胞混入の低減を目的として, CD34陽性CD133陰性の急性リンパ芽球性白血病に対して抗CD133抗体を用いた幹細胞分離を経験したので提示する. 症例は17才男性. 1999年全身倦怠感, その後発熱, 頸部リンパ節腫脹, 肝脾腫で発症したALL L1. 骨髄ではLy-Blast98.2%で, CD10 99.7%, CD19 99.8%, CD34 30%で, 腫瘍細胞の一部はCD34陽性であった. 小児科にて化学療法後完全寛解を得たが, 2003年12月に末梢血にBlastを認め再発. 再発時骨髄Ly-Blast 90.3%で, BlastのCD10 98.7%, CD19 98.9%, CD20 3.2%, CD3 4.6%, CD34 47.6%で, 腫瘍細胞の大部分がCD34陽性であったがCD133陽性細胞は骨髄全体の0.39%で, 腫瘍細胞のCD133は陰性と考えられた. 化学療法にて寛解を得られず. このため腫瘍細胞を滅らす目的とした自己のPBSCTと, それに引き続いて治癒を目的とした同種骨髄移植を行う目的で当院小児科に入院. 2004年1月26日, 27日にPBSCHを行い, 27日に抗CD133抗体を用いた幹細胞純化を行った. G-CSFを用いて動員されたCD34陽性細胞数は2日間で38×106/Kg, CD133陽性細胞数は33×106/Kg(総量1.5×109個). Clini MACSを用いてCD133陽性細胞純化後のCD133陽性細胞数は24.1×106/Kgで, 純化後のCD133陽性率は99%, CD34陽性率は99.45%であった. 今回はPBSCHで動員されたCD133陽性細胞数が多く, 分離カラムの容量(1×109個)を超えたCD133陽性細胞をapplyすることになったが, 1.17×109個とカラムの容量を超えたCD133細胞が回収され, 回収率は78%, CD133陽性細胞の純度も99%と良好な結果が得られた. 尚純化後の細胞はCD34純化のプログラムとは異なり70mlの容量になるので(CD34純化の場合は40ml), 保存に際してはCP-1/アルブミン溶液も70m1加えて保存する点は注意が必要である. また磁気ビーズに用いた抗CD133抗体(cloneAC133;epitope 1を認識)と, 回収後の細胞を定量するときの抗CD133抗体(clone293C3;epitope2を認識)の認識するエピトープも異なるものを選ぶ点も注意を要する. 当患者はその後2004年3月17日にPBSCTを行い, 3ケ月後に同種骨髄移植を行い重篤な合併症もなく完全寛解を維持している. CD34陽性, CD133陰性白血病での抗CDI33抗体を用いた幹細胞純化の有用性を示す事例と考え報告した.
ISSN:0546-1448