4. 不規則抗体陽性患者の緊急輸血について
今回, 医療機関と血液センターの情報共有について考えさせられる事例を経験した. 【事例】本年5月, 産婦人科の手術中に緊急でMAP準備の依頼が入った. 患者は輸血歴があったが, 事前に不規則抗体検査を実施していなかった. 不規則抗体検査と交差適合試験を同時に進めた結果, 抗体陽性, 交差不適合となり, 抗E抗体の存在が疑われた. 在庫には適合血がなく, 血液センターにE抗原陰性血(検索のみ)を大至急運んでもらうようお願いした. 抗体同定検査の結果, 抗E抗体と抗S抗体の複数抗体保有と判明し, 血液センターから届いた18単位のうち14単位の適合血を得ることができた. 最初の連絡から約2時間経過し...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 2005, Vol.51 (1), p.41-41 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今回, 医療機関と血液センターの情報共有について考えさせられる事例を経験した. 【事例】本年5月, 産婦人科の手術中に緊急でMAP準備の依頼が入った. 患者は輸血歴があったが, 事前に不規則抗体検査を実施していなかった. 不規則抗体検査と交差適合試験を同時に進めた結果, 抗体陽性, 交差不適合となり, 抗E抗体の存在が疑われた. 在庫には適合血がなく, 血液センターにE抗原陰性血(検索のみ)を大至急運んでもらうようお願いした. 抗体同定検査の結果, 抗E抗体と抗S抗体の複数抗体保有と判明し, 血液センターから届いた18単位のうち14単位の適合血を得ることができた. 最初の連絡から約2時間経過していた. 翌日この事をインシデントとして報告し, 関係各位に『輸血部からのお願い』として輸血の可能性が高い手術の前には必ず不規則抗体検査を実施するように通知した. 【考察, 結語】今回の事例は術前に不規則抗体検査が実施されていなかったインシデントであった. しかし, 救急で搬送される患者は多くが血液型も不規則抗体も未検査であるため, 交差適合試験の結果, 抗体を発見する場合もありえる. 抗体を見つけても同定に必要なパネル血球や抗血清をもっていない施設が多く, その場合短時間で大量の適合血を得るのは困難である. 日本人では検出率の一番高い抗体は抗E抗体とされていることから, 血液センターのもつ因子情報が提供されることでより早い対応が可能である. 当院では一時停止されていた因子情報の提供を7月から再開してもらえることとなり, これにより納入分の赤血球製剤の因子情報がわかるようになった. 不測の事態に少しでも早く対応していけるように, 医療機関と血液センターがお互いにより多くの情報を提供し合い, 連携を強めていくことが必要と思われる. |
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ISSN: | 0546-1448 |