3. 当院における輸血インシデントの検討

【目的】当院では2002年7月から院内LANを用いたインシデントレポートシステムが稼働している. 輸血過誤防止のためにはインシデントを解析し, 安全な輸血システムを構築することが必要である. 今回, 輸血に関わるインシデントを解析した. 【対象と方法】インシデントレポートシステムが稼働してから2年間で報告された4719件のレポートから「輸血」というキーワードを含むインシデントを抽出し, その内容を吟味し, 輸血療法に関するインシデントを絞り込んだ. インシデントの発生工程分類は, 河原ら(日本輸血学会誌49:2003)の分類を参考にした. 【結果】52事例のインシデントに対し, 65件(医師6...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 2005, Vol.51 (1), p.40-41
Hauptverfasser: 紀野修一, 友田豊, 遠藤玲美, 葛西眞一, 加藤千津子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】当院では2002年7月から院内LANを用いたインシデントレポートシステムが稼働している. 輸血過誤防止のためにはインシデントを解析し, 安全な輸血システムを構築することが必要である. 今回, 輸血に関わるインシデントを解析した. 【対象と方法】インシデントレポートシステムが稼働してから2年間で報告された4719件のレポートから「輸血」というキーワードを含むインシデントを抽出し, その内容を吟味し, 輸血療法に関するインシデントを絞り込んだ. インシデントの発生工程分類は, 河原ら(日本輸血学会誌49:2003)の分類を参考にした. 【結果】52事例のインシデントに対し, 65件(医師6, 看護師46, 輸血部技師10, 臨床工学士2, 事務1)の報告があった. インシデント発生件数を半年毎に見ると, 最初の半年が10件で, 以後16件, 13件, 13件であった. インシデントの発生部署は, 一般病棟32, ICU9, 手術室6, 輸血部2, 事務部門3件であった. インシデントの発端者は, 医師11, 看護師34, 事務職員3, 臨床工学士2, オーダリングシステムの不備2件であった. 輸血行為の遂行過程別に見ると, 血液製剤の使用開始, 使用中が21件で最も多く, 病棟での製剤取扱い8件, 輸血決定, 輸血指示の連絡確認6件が多かった. 患者影響度レベル0が20件, レベル1が15件, レベル2が12件, レベル3aが5件で, 患者に傷害を与えたレベル2, 3aの17件中14件は輸血開始から輸血中に発生していた. 【考察, 結語】患者に直接影響を与える可能性のあるインシデントの多くは, 輸血開始から輸血中に発生していた, また, この過程は患者取り違えや製剤取り違えなど, 重篤な結果にいたる過誤が発生する過程である. 個々のインシデントに対応することも重要であるが, 蓄積したインシデントを分析し生かすことは, 安全な輸血療法を完遂できるシステムを構築するために必要と思われる.
ISSN:0546-1448