2.血液センターでの取り組み
非溶血性副作用は, 最も高頻度で, 輸血関連急性肺障害(TRALI)のように致命率の高いものもあり, 平成14年度の全国国立大学輸血部会議の調査では輸血による死亡原因の第1位を占める, 重要な輸血副作用である. 我々は, 平成9年度より非溶血性副作用と患者血清中の抗HLA抗体, 抗顆粒球抗体, 抗血小板抗体との関連を検討してきた. 平成14年度からは医療機関の協力を得て製剤側検体(主にセグメントチューブ)の抗体も検討できるようになった. 平成9年度から平成14年度の6年間に, 兵庫県下の医療機関から報告された非溶血性副作用のうち患者血清が検査できたのは178例, うち製剤側も検査できたのは32...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 2004, Vol.50 (3), p.515-515 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 非溶血性副作用は, 最も高頻度で, 輸血関連急性肺障害(TRALI)のように致命率の高いものもあり, 平成14年度の全国国立大学輸血部会議の調査では輸血による死亡原因の第1位を占める, 重要な輸血副作用である. 我々は, 平成9年度より非溶血性副作用と患者血清中の抗HLA抗体, 抗顆粒球抗体, 抗血小板抗体との関連を検討してきた. 平成14年度からは医療機関の協力を得て製剤側検体(主にセグメントチューブ)の抗体も検討できるようになった. 平成9年度から平成14年度の6年間に, 兵庫県下の医療機関から報告された非溶血性副作用のうち患者血清が検査できたのは178例, うち製剤側も検査できたのは32例である. 副作用報告件数は非溶血性副作用についてのMR活動推進により平成14年度には40例に増加した. 患者の約6割が血液疾患であり, 原因製剤の約6割が血小板製剤であった. 非溶血性副作用は, 医療機関からの「副作用, 記録」に基づいて, (1)発熱反応(アレルギー症状を伴わないもの), (2)皮疹(全身症状を伴わないアレルギー症状), (3)アナフィラキシー(全身症状を伴うアレルギー症状), (4)呼吸障害(咽頭, 喉頭浮腫や喘息等明らかに(3)に分類できるものを除く), (5)その他((1)~(4)に分類困難なもの)に区分した. 頻度は(2)43%, (3)28%, (1)14%, (4)13%であり, 呼吸障害, アナフィラキシーなど重篤な副作用が約4割を占めていた. 患者血清では抗HLA抗体陽性が16%, 抗血小板抗体陽性が3%, 抗顆粒球抗体陽性が3%, 抗血漿タンパク抗体陽性が9%認められた. 発熱反応では抗HLA抗体陽性が21例中7例と高頻度に検出され, 皮疹, アナフィラキシーでは抗血漿タンパク抗体の検出率が高い傾向が認められた. しかし, 呼吸障害で患者血清中に抗体が検出できたのは23例中4例(抗HLA2, 抗血漿タンパク2)に過ぎなかった. 一方, 製剤側も検索できた32例では, 呼吸障害8例中製剤側では抗体を3件(抗HLA2, 抗顆粒球1)検出したのに対し, 患者血清中の抗体検出率はゼロであった. まだ検討数が少ないが, これらの結果は, 呼吸障害で製剤側の抗体を検索することの重要性を示唆していると思われ, さらに症例を増やして検討する必要がある. 重篤な非溶血性副作用で製剤側の抗体の関与が明らかになれば, 血漿成分除去製剤の導入や, 抗体陽性ドナー血液の排除などの対策を進めることが可能となる. まだ医療機関からの副作用報告は発生件数の一部に過ぎない. 非溶血性副作用における抗体の関与を明らかにするため, 医療機関関係者の副作用報告へのさらなる協力をお願いしたい. |
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ISSN: | 0546-1448 |