P166 ブロメリン法でのみ検出された抗Jkb抗体

【はじめに】当院では2003年2月からMTS(マイクロタイピングシステム)が稼動し, 血液型や不規則抗体検査を行っている. 不規則抗体検査は, Br(ブロメリン)法とクームス(Lisscoombs)法を採用している. 不規則抗体陽性の場合は用手によるクームス(Pegcoombs)法で同定している. 今回我々はクームス法で検出できずBr法でのみ検出できた抗JKb抗体の一症例を報告する. 【症例】40歳女性, 妊娠歴無し. 高度貧血にて2003年8月13日紹介入院. 8月15日にMAP2単位輸血するも副作用なし. 9月10日にMAP4単位を輸血し14時間後の9月11日早朝, 看護師の回診で患者の黄...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 2004, Vol.50 (2), p.351-351
Hauptverfasser: 吉本千尋, 河野義彦, 吉田真一郎, 伊東正博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】当院では2003年2月からMTS(マイクロタイピングシステム)が稼動し, 血液型や不規則抗体検査を行っている. 不規則抗体検査は, Br(ブロメリン)法とクームス(Lisscoombs)法を採用している. 不規則抗体陽性の場合は用手によるクームス(Pegcoombs)法で同定している. 今回我々はクームス法で検出できずBr法でのみ検出できた抗JKb抗体の一症例を報告する. 【症例】40歳女性, 妊娠歴無し. 高度貧血にて2003年8月13日紹介入院. 8月15日にMAP2単位輸血するも副作用なし. 9月10日にMAP4単位を輸血し14時間後の9月11日早朝, 看護師の回診で患者の黄疸に気がつくが患者本人は自覚症状なし. 【検査経過】8月15日の不規則抗体検査(Br法, クームス法)陰性. 同日MAP2単位輸血. 9月4日不規則抗体検査で抗E抗体陽性. 9月10日の交差適合試験(ee血液でクームス法のみ実施)陰性. 9月11日黄疸発症のため9月10日の検体での不規則抗体検査では, Br法でのみ新たな抗Jkb抗体を同定. 9月10日の交差適合試験血液製剤は2パックともJkb抗原(+)であった. 【考察】9月4日の不規則抗体検査から9月10日の交差適合試験まで1週間未満と期間が短かったため再度の不規則抗体検査は行っていない. この為Br法でのみで反応する抗Jkb抗体の検出が見逃され, その結果Jkb抗原(+)の血液製剤輸血により輸血反応が黄疸症状として現われたものと思われる. 本抗体はIgGクームス血清では反応しないことからIgMによる初期抗体と推測され, 今後の経過観察が必要である. 欧米はもとより本邦でもBr法は補助的な検査法とする傾向にあるが, 今回のケースのようにBr法でしか検出できない症例もあること, そして輸血反応を発症することを念頭に輸血検査を行うことが必要である. 今後さらに検討の意義がある症例である.
ISSN:0546-1448