P146-0 IgA低値症例に対する解析の重要性

【目的】院内での検査でIgA含量が検出限界以下を示す患者は, IgA欠損の可能性があり, さらに患者が抗IgA抗体を保有していると, 血漿成分の輸血により, アナフィラキシー反応などの重篤な副作用を起こすことがある. 今回我々は, 医療機関からIgA低値症例の精査依頼を受け, 解析を行ったので報告する. 【症例】症例1は68歳の女性, 再生不良性貧血の患者で副作用歴はない. 症例2は54歳の男性, 高IgM症候群の患者. 症例3は29歳の女性, 複合型免疫不全症候群の患者で, 過去に悪寒戦慄などの副作用歴がある. 【方法】血漿タンパク質欠損検査はネフェロメトリー法およびELISA法で, 抗血漿...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 2004, Vol.50 (2), p.341-341
Hauptverfasser: 坊池義浩, 能勢義介, 井本しおん, 三戸壽, 山内富二子, 佐藤信浩, 藤山理世, 矢部博樹, 渡辺嘉久, 嶋田英子, 池田和代
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】院内での検査でIgA含量が検出限界以下を示す患者は, IgA欠損の可能性があり, さらに患者が抗IgA抗体を保有していると, 血漿成分の輸血により, アナフィラキシー反応などの重篤な副作用を起こすことがある. 今回我々は, 医療機関からIgA低値症例の精査依頼を受け, 解析を行ったので報告する. 【症例】症例1は68歳の女性, 再生不良性貧血の患者で副作用歴はない. 症例2は54歳の男性, 高IgM症候群の患者. 症例3は29歳の女性, 複合型免疫不全症候群の患者で, 過去に悪寒戦慄などの副作用歴がある. 【方法】血漿タンパク質欠損検査はネフェロメトリー法およびELISA法で, 抗血漿タンパク質抗体検査はELISA法で実施した. IgA遺伝子解析は, 末梢血リンパ球から抽出したRNAを逆転写酵素で変換したcDNAと, 末梢血顆粒球より抽出したgenomicDNAを用い, PCR法を行った. 【結果】ELISA法で測定したIgA含量は, 症例1が53μg/dL, 症例2も230μg/dLと極めて低値であった. 症例3はELISA法での検出限界である3μg/dL以下であった. 症例2と3のIgA遺伝子解析の結果は, genomicDNAからIgA遺伝子の断片は増幅されたが, cDNAからはIgA2遺伝子の増幅断片が検出されなかった. 血清中の抗IgA抗体は3症例ともELISA法で陰性であった. 【総括】症例1と2はIgA欠損でないことが確認され, 症例3はIgA欠損の可能性が示唆された, 症例3は抗IgA抗体も検出されなかったが, 以前に副作用歴があり, 今後慎重に対応する必要がある. 今回のようにIgA含量が低値を示す症例に対しては, 高感度ELISA法でIgA欠損でないことを確認し, さらに抗IgA抗体の有無をみることは, 血漿成分を含む血液製剤の輸血を安全に行うために, 非常に重要であると考えられた. 遺伝子解析については, 症例2と3のcDNAからIgA2遺伝子の増幅断片は検出されなかったが, それとIgA欠損の関連性を直接結びつけることはできなかった.
ISSN:0546-1448