P116 麻酔科医から見た生血輸血とは
【目的】血液全成分が等しく喪失する術中出血を生血輸血で対処できれば必要成分を輸血で補充する成分輸血中心とする考えは不要となる. 成分輸血中心ならば, 術中輸血の基本は血管外リザーブ, 1日生産量が極端に小さい赤血球製剤が最初に輸血される. 生血輸血の適応は日赤血供給不足だけでなく術中止血困難を多くの臨床医が想定している. ところが生血輸血は危険性が高いばかりか緊急時にも対応できない. 【方法と成績】生血輸血に最も近いのは希釈式自己血輸血の自己当日新鮮血である. 採血量は代用血漿の使用限界と酸素供給不足に到る前に設定されているため, この自己血で術中出血に対処できた場合にはまだ出血傾向には至らず...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 2004, Vol.50 (2), p.326-326 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】血液全成分が等しく喪失する術中出血を生血輸血で対処できれば必要成分を輸血で補充する成分輸血中心とする考えは不要となる. 成分輸血中心ならば, 術中輸血の基本は血管外リザーブ, 1日生産量が極端に小さい赤血球製剤が最初に輸血される. 生血輸血の適応は日赤血供給不足だけでなく術中止血困難を多くの臨床医が想定している. ところが生血輸血は危険性が高いばかりか緊急時にも対応できない. 【方法と成績】生血輸血に最も近いのは希釈式自己血輸血の自己当日新鮮血である. 採血量は代用血漿の使用限界と酸素供給不足に到る前に設定されているため, この自己血で術中出血に対処できた場合にはまだ出血傾向には至らず, この輸血が止血機能に有利に働いたとはいえない. 生血輸血の止血機能を期待する場面とは循環血液量相当の出血量がある場合で, 実際の臨床ではこの時すでにFFPは輸血されているのである. ならば, 生血輸血に期待されるのは血小板補給だけである. ところが術中出血での生血輸血は容量負荷が生じ, 血小板20単位補給には約4Lの容量負荷が生じる. PCなら250mlの容量負荷で済むため純粋に血小板数の補給ができる. つまり, 術中で凝固因子が補給されていれば最も必要とする血小板数増加は生血輸血では一時的であれ達成できない. 生血輸血の存在はPCの供給困難にもよる. PCの血液型を問わないなら在庫の可能性も高く, 輸血承諾書入手の段階で型違い輸血の承諾は取っておく必要がある. 当然, 麻酔管理にも注意が必要で, 止血操作未終了ではPC輸血をせず, 手術進行状況を術者と相談してから輸血する. そのため, 供給が比較的容易なFFPの先行輸血は容認せざるを得ない. 【結論】麻酔科医が考えるところ, 止血困難, 大量輸血での生血輸血は積極的な止血という意味での効果は少ないのである. |
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ISSN: | 0546-1448 |