P46 先天性胆道閉鎖症におけるHLA遺伝子の関連性(日本人生体肝移植392症例の解析)

【目的】先天性胆道閉鎖症(BA)は新生児期に進行性の肝外胆管の閉塞を引き起こす小児の肝機能不全の代表的疾患である. 外科的治療が行われるものの成績は満足するものとは言えず, 現在も最終的に肝移植が施行されることが多い. 心奇形や内臓逆位を伴うembryonic typeと, 新生児期に線維性閉塞をきたすclassic perinatal typeに分類される. 病因についてはあきらかにされておらず, 1)遺伝子, 2)ウイルス, 3)免疫応答の異常などが考えられている. 「遺伝的要因」についてはHLA遺伝子との相関について賛否双方の報告があり確定していない. われわれはBAの大部分を占めるcl...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 2004, Vol.50 (2), p.291-291
Hauptverfasser: 辻博昭, 湯浅健, 菱田理恵, 丹羽紀実, 万木紀美子, 赤井洋子, 竹川良子, 笠井泰成, 木村晋也, 丸屋悦子, 佐治博夫, 浅野弘明, 江川裕人, 田中紘一, 前川平
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】先天性胆道閉鎖症(BA)は新生児期に進行性の肝外胆管の閉塞を引き起こす小児の肝機能不全の代表的疾患である. 外科的治療が行われるものの成績は満足するものとは言えず, 現在も最終的に肝移植が施行されることが多い. 心奇形や内臓逆位を伴うembryonic typeと, 新生児期に線維性閉塞をきたすclassic perinatal typeに分類される. 病因についてはあきらかにされておらず, 1)遺伝子, 2)ウイルス, 3)免疫応答の異常などが考えられている. 「遺伝的要因」についてはHLA遺伝子との相関について賛否双方の報告があり確定していない. われわれはBAの大部分を占めるclassic perinatal typeのHLA-A, B, DR型との相関について後方視的に解析した. 【対象と方法】京大病院で1990年6月から2003年11月までに行われた生体肝移植症例から, 合併奇型を示す72例を除外したBA症例392例. また患者家族のHLA型からHaplotype解析をおこなった. HLAtyping法は2002年1月までは血清学的検査, 2002年2月以後の症例ではPCR法を用いた. 統計学的解析は正常日本人を対照群としてx二乗検定でおこなった. 【成績】疾患群に高頻度で認められたのはHLA-A24(RR=1.97, p=0.000001), -DR1(RR=1.57, p=0.0.15), -DR2(RR=1.82, p=0.0000025)であった. 補正p値(Pc)は各々0.000007, 0.17, 0.00003であり, HLA-A24とHLA-DR2(DRB1*15とDRB1*16)が疾患感受性因子と考えられた. 疾患群に低頻度であったものはHLA-B55(RR=0.52, p=0.05), -DRl4(RR=O.7, p=O.03)であったが, Pcは各々1.08, 0.36であり有意差とは言えなかった. 【結論】BAの感受性HLAとしてHLA-A24とHLA-DR2(DRB1*15とDRB1*16)が抽出された. DR2はDRB5遺伝子を連鎖しているので, DRB1またはDRB5遺伝子が疾患遺伝子として推定される. 疾患抵抗性HLA遺伝子は見出せなかった.
ISSN:0546-1448