P28 ミニ移植を行った慢性肉芽腫症の一例

【はじめに】慢性肉芽腫症に対する造血幹細胞移植は, フルダラビンを用いたミニ移植が有効であると考えられている. 今回我々は, 慢性肉芽腫症に対して行ったミニ移植後のキメリズムを解析したので報告する. 【症例】21歳男性(血液型:A型). 現病歴として, 1歳時に肝膿瘍, 慢性肉芽腫症と診断され, 本院小児科でフォローされていた. 3, 4歳時に肛門周囲膿瘍の手術を受け, その後も口内炎, 顔面の皮膚化膿症を繰り返していた. そこで平成14年11月8日, HLA一致の兄(血液型:0型)より同種骨髄移植を施行した. 移植4ヶ月後にドナーリンパ球輸注を1回, 8ヶ月後に3回連続行った. 【方法】赤血...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 2004, Vol.50 (2), p.282-282
Hauptverfasser: 小野寺利恵, 谷廣ミサヱ, 平岡朝子, 水野真美, 亀谷真由美, 脇坂直美, 藤井輝久, 高田昇, 小林正夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】慢性肉芽腫症に対する造血幹細胞移植は, フルダラビンを用いたミニ移植が有効であると考えられている. 今回我々は, 慢性肉芽腫症に対して行ったミニ移植後のキメリズムを解析したので報告する. 【症例】21歳男性(血液型:A型). 現病歴として, 1歳時に肝膿瘍, 慢性肉芽腫症と診断され, 本院小児科でフォローされていた. 3, 4歳時に肛門周囲膿瘍の手術を受け, その後も口内炎, 顔面の皮膚化膿症を繰り返していた. そこで平成14年11月8日, HLA一致の兄(血液型:0型)より同種骨髄移植を施行した. 移植4ヶ月後にドナーリンパ球輸注を1回, 8ヶ月後に3回連続行った. 【方法】赤血球キメリズム解析は, 末梢血を二塩酸スベルイミノ酸ジメチル処理後, 抗Aモノクローナル抗体, そしてFITC標識抗マウスポリクローナル抗体と反応させ, FCMにて測定した. 【結果】NBT還元能(-), O2産生能(-), cytochrome B558βchain(-)αchain(±), cytosolic factorp47(+)p67(+), gp91-phox蛋白質は健常者の約3%, 遺伝子解析よりgp91-phox deficiency(X910)であった. gp91-phox蛋白質キメリズムの解析では移植後約1年で完全キメラとなり, 好中球殺菌能は正常化した. 赤血球のキメリズム解析では移植後約9ヶ月後にドナー型が50%以上を占め, gp91-phox蛋白質が完全ドナー型になった約1年後には, ドナー型赤血球は約70%であった. 【考察】患者の経過は良好であり, 慢性肉芽腫症に対して早期に骨髄移植を行うことは根治療法として有用であると考えられた. また, 慢性肉芽腫症における移植後のキメリズム解析は, gp91-phox蛋白質を測定するのが直接的であるが, 赤血球のキメリズム解析で代用できると考えられた.
ISSN:0546-1448