T-1 癌のTh1細胞治療:遺伝子改変癌特異的Th1,Tc1細胞加工法の確立
癌抗原ペプチドの発見は, 腫瘍免疫学の発展に大きなインパクトを与え, 癌特異的免疫療法の実現性に道を開いた. しかし, 欧米のクラスI結合性癌ペプチド単独投与の臨床研究では, 未だ期待されたほどの効果は認められていない. 我々は, これまでの研究で, 担癌生体における免疫抑制を打破して, 癌特異的CTLを誘導するためには, 所属リンパ節におけるTh1主導型免疫の活性化が重要であるという結論を導き出し, そのためのストラテジーをいくつか開発してきた. 今回は, Th1細胞治療の抗腫瘍メカニズムと遺伝子改変癌特異的Th1細胞の加工法を中心に紹介する. 抗原特異的Thl細胞の移入と癌抗原タンパクの腫...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 2004, Vol.50 (2), p.215-215 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 癌抗原ペプチドの発見は, 腫瘍免疫学の発展に大きなインパクトを与え, 癌特異的免疫療法の実現性に道を開いた. しかし, 欧米のクラスI結合性癌ペプチド単独投与の臨床研究では, 未だ期待されたほどの効果は認められていない. 我々は, これまでの研究で, 担癌生体における免疫抑制を打破して, 癌特異的CTLを誘導するためには, 所属リンパ節におけるTh1主導型免疫の活性化が重要であるという結論を導き出し, そのためのストラテジーをいくつか開発してきた. 今回は, Th1細胞治療の抗腫瘍メカニズムと遺伝子改変癌特異的Th1細胞の加工法を中心に紹介する. 抗原特異的Thl細胞の移入と癌抗原タンパクの腫瘍内投与によって, MHC classIIの腫瘍も完全拒絶することができた. 本実験によりTh1細胞治療は, 癌抗原を提示したAPCのDLNへの移住, APC/Th1細胞間相互作用, DLNにおけるTetramer+CTLの誘導を促進し, 癌の拒絶を誘導することが証明された. Thl細胞療法をより普遍的な癌治療にするために, 遺伝子改変Th1, Tc1の細胞加工法も確立した. 癌特異的マウスTh1のTCR遺伝子を導入することによって非特異的なTh1に癌特異的性を付与することに成功し, in vivoでも強い抗腫瘍効果を示した. また, クラスI拘束性ヒト癌特異的CTLのTCR遺伝子を非特異的なTh1に導入することによっても癌特異的なTh1細胞を人工加工することができた. さらに, 抗体とTCRシグナルキメラ遺伝子を導入することによってMHC非拘束的に作用できるヒト遺伝子改変癌抗原特異的Th1細胞の加工にも成功した. 我々は既に癌抗原非特異的で, PPD特異的Th1細胞治療でも癌特異的CTLを誘導し, 癌を完治できることを証明した. 以上のことから, Th1細胞治療は癌の免疫療法として広く応用可能になると考えられる. |
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ISSN: | 0546-1448 |