16.患者取り違え輸血と輸血部の対応
本年6月, 当院集中治療部においてMAPを投与すべき患者を取り違える事故が発生した. 幸い, ABO血液型が一致する患者間での取り違えであったため, 重篤な合併症は発生しなかった. 今回, この事故に対する輸血部の取り組みについて報告する. 【事例】術後の患者K氏とT氏は隣のベッドに入院中であった. K氏は術直後で挿管の上, 人工呼吸器管理中であった. K氏に対して, A型(+)のMAP4単位を輸血する指示が出された. その指示を受けた看護師Aは, 血液保管冷蔵庫から隣のベッドの患者T氏の交差済みA型(+)のMAPを誤って取り出し, また, T氏の輸血申し込み伝票を手にして, K氏のベッドサイ...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 2004, Vol.50 (1), p.143-143 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 本年6月, 当院集中治療部においてMAPを投与すべき患者を取り違える事故が発生した. 幸い, ABO血液型が一致する患者間での取り違えであったため, 重篤な合併症は発生しなかった. 今回, この事故に対する輸血部の取り組みについて報告する. 【事例】術後の患者K氏とT氏は隣のベッドに入院中であった. K氏は術直後で挿管の上, 人工呼吸器管理中であった. K氏に対して, A型(+)のMAP4単位を輸血する指示が出された. その指示を受けた看護師Aは, 血液保管冷蔵庫から隣のベッドの患者T氏の交差済みA型(+)のMAPを誤って取り出し, また, T氏の輸血申し込み伝票を手にして, K氏のベッドサイドに運んだ. その後, 看護師Aは看護師Bと2人で, K氏の血液型をK氏のカルテでA型(+)であることを確認後, T氏の輸血申し込み伝票をみながら, MAPのLot, 交差適合済みを確認し, K氏に輸血を開始した. 約120mlのMAPが輸血された頃, 輸血部職員が使用予定のないT氏の輸血を回収に行ったところ, T氏のMAPが保管庫からなくなっていることに気づき, 患者取り違え輸血が発覚した. 【輸血部の対応】1)直ちにK氏の輸血を中止してもらい, K氏の血液と誤って輸血されたMAPの交差適合試験を行った(交差試験は陰性であった). 2)使用予定のない血液を当該部署に保管していたことが本事故の一因と考えられたため, 輸血部職員が毎朝出勤後直ちに使用予定のない血液を当該部署から回収することにした. 3)輸血学会の発行している輸血過誤防止のチェックポイントを印刷し, 院内すべての部署に配布し, 注意を喚起した. 4)事故後約1ヶ月間, MAP, PCに患者確認を必ず施行するように記載した小片を添付し, 輸血接続時の患者取り違えをおこさないように注意を促した. 5)事故に対する各部署での意識調査を実施した. 【結語】輸血事故に迅速に対応し, また, 事故の予防をはかるためには輸血を専門に扱う部署と責任者がいることが望ましい. |
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ISSN: | 0546-1448 |