11.当院での赤血球MAP製剤使用の現状について

当院における赤血球MAP製剤(MAP)使用の現状を明らかにするために, その使用状況について検討を行った. 【対象】2000年4月~2003年3月までの3年間を対象とし, 病院全体でのMAP使用量, 準備量, 廃棄率を調査した. 【結果】当院では, 年間約4,000~5,000単位のMAPが使用されており, その内訳を診療科別に表すと, 3年間では心臓, 血管外科での使用が最も多く(36%), 次いで血液内科(16%), 消化器外科(15%), 小児科(8%)であった. これに対し, 交差適合試験を実施し, 準備したMAPは年間約9,000単位で, 全体としてのCT比は約1.9であった. 外科...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 2004, Vol.50 (1), p.141-141
Hauptverfasser: 遠藤玲美, 友田豊, 紀野修一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:当院における赤血球MAP製剤(MAP)使用の現状を明らかにするために, その使用状況について検討を行った. 【対象】2000年4月~2003年3月までの3年間を対象とし, 病院全体でのMAP使用量, 準備量, 廃棄率を調査した. 【結果】当院では, 年間約4,000~5,000単位のMAPが使用されており, その内訳を診療科別に表すと, 3年間では心臓, 血管外科での使用が最も多く(36%), 次いで血液内科(16%), 消化器外科(15%), 小児科(8%)であった. これに対し, 交差適合試験を実施し, 準備したMAPは年間約9,000単位で, 全体としてのCT比は約1.9であった. 外科系診療科でのCT比は, 1.5以上であるのに対し, 内科系診療科では1.0~1.3となり, 外科系での準備量が多かった. 一方, MAPの廃棄率は, 1.6~3%とわずかであった. 【考察】外科手術での至適血液準備量は, CT比で1.5以下とされているが, 当院でのCT比はそれを上回り, 準備量が多いことがわかった. 準備量が多い一番の要因は, 輸血の夜間休日当直体制ができていないことである. このため, 長時間にわたる手術や夕刻から始まる緊急手術では, 準備量が増加する. また, 夜間時間外はT&Sでの対応が不可能となるため, 手術用準備血のT&Sでの依頼は少なく, 交差適合試験済みで血液を輸血部に保管しておく“stand-by”での対応が好まれている. 当院におけるMAPの準備量は多くCT比は高値であるが, 廃棄率が低いのは診療側の協力を得たうえで, 残ったMAPを速やかに転用し, 輸血部の一元化管理のもとにむだなく使用しているからと言える. 【結語】近年, 過剰な血液準備が大量の廃棄血を生む原因の一つと指摘されているため, 最大輸血準備量(MSBOS)や手術輸血準備量(SBOE)といった指標を利用し, MAPの有効利用に取り組んでいる病院も多い. しかし, 各病院の内情にあわせ, 輸血部を中心としたMAPの速やかな転用などの柔軟な対応に取り組むことでも, MAPの有効利用が十分可能であった.
ISSN:0546-1448