ドナーリンパ球輸注療法 適応と選択
同種造血幹細胞移植の白血病再発は, 移植医にとって最も大きな課題である. 近年, ドナーリンパ球輸注(DLI)が慢性骨髄性白血病(CML)慢性期再発に著効することが明らかになり, 同種免疫による移植片対抗白血病(GVL)効果が注目されている. 実際, このような症例ではDLI後の長期生存率は70%以上に達している. しかし, DLIは急性白血病再発には効果に乏しく, 効果があっても通常は長続きしない. わが国の調査でも, 急性白血病での寛解導入率, 2年生存率は, 急性骨髄性白血病(AML)で38%, 7%, 急性リンパ性白血病(ALL)では25%, 5%であった(Shiobara S:BMT...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 同種造血幹細胞移植の白血病再発は, 移植医にとって最も大きな課題である. 近年, ドナーリンパ球輸注(DLI)が慢性骨髄性白血病(CML)慢性期再発に著効することが明らかになり, 同種免疫による移植片対抗白血病(GVL)効果が注目されている. 実際, このような症例ではDLI後の長期生存率は70%以上に達している. しかし, DLIは急性白血病再発には効果に乏しく, 効果があっても通常は長続きしない. わが国の調査でも, 急性白血病での寛解導入率, 2年生存率は, 急性骨髄性白血病(AML)で38%, 7%, 急性リンパ性白血病(ALL)では25%, 5%であった(Shiobara S:BMT2000). DLI後のGVL効果がGVHDに関連して起こりやすいことは以前から指摘されていた. 小寺班のアンケート調査では, DLI後1年でのAML患者の予想生存率はGVHD(-)群で18%, GVHD(+)群で67%, ALL患者ではGVHD(-)群で11%, GVHD(+)群で25%であった. したがって, 移植後GVHDを発症せず再発した急性白血病に対し, 短期間に比較的大量のDLIを繰り返すことによりGVHDを誘導できれば, GVL効果が期待できる可能性がある. このような短期大量DLI療法の有用性を検討する臨床研究が, 現在進行中である(http://web. kanazawa-u. ac. jp/~med18/dli. html). 一方, GVHDは両刃の剣でもある. わが国の調査(前述)では, DLI後急性GVHDの発症頻度は欧米より低いものの, 急性GVHDによって死亡する症例の割合は10~20%と欧米と差はなかった. したがって, DLI後にGVHDを発症した場合, 速やかに免疫抑制療法を開始する必要がある. ことにCML慢性期例はGVL効果が得やすいため, 治療成績をさらに向上させるためには致死的GVHDの回避が不可欠である. CML慢性期例では, DLIからGVL効果誘導までの中央値がll週であった. そこで, CML慢性期再発に対してはCD3陽性細胞数1~5x107/kg程度のDLIを行い, 無効例には12週間隔でDLIを追加するプロトコールを提案している(前述のホームページ参照). |
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ISSN: | 0546-1448 |