抗Kpa抗体陽性症例の経験

日本人におけるKell式血液型は, ほとんどkk, Kp(a-b+), Js(a-b+)でありKp(a+)の出現頻度は, 永尾らにより0. 009%と報告されている. 今回我々は頻回輸血患者の抗体スクリーニングをきっかけに抗Kpa抗体を経験したので報告する. 【症例】患者は39歳, 女性, A型, CCDee, 妊娠歴不明, 輸血歴有り. 既往歴は1997年5月に乳癌の手術施行, 10月にauto-PBSCTを行っている. 2001年3月に当院内科で骨髄線維症と診断され輸血療法で経過していたが, 白血球が増加したため12月に化学療法施行のため入院した. しかし翌年1月肺出血にて死亡した. 【検...

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Hauptverfasser: 佐藤淑子, 後藤健治, 藤井喜榮子, 佐々木さき子, 高舘潤子, 橘美穂子, 田崎哲典, 諏訪部章
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:日本人におけるKell式血液型は, ほとんどkk, Kp(a-b+), Js(a-b+)でありKp(a+)の出現頻度は, 永尾らにより0. 009%と報告されている. 今回我々は頻回輸血患者の抗体スクリーニングをきっかけに抗Kpa抗体を経験したので報告する. 【症例】患者は39歳, 女性, A型, CCDee, 妊娠歴不明, 輸血歴有り. 既往歴は1997年5月に乳癌の手術施行, 10月にauto-PBSCTを行っている. 2001年3月に当院内科で骨髄線維症と診断され輸血療法で経過していたが, 白血球が増加したため12月に化学療法施行のため入院した. しかし翌年1月肺出血にて死亡した. 【検査成績】1997年と2001年3月から9月まで頻回輸血を行っているが, 抗体スクリーニングは陰性だった. しかし, 9月3日, 25日, 11月19日の3回の検査でDia血球とのみクームス法で反応が認められたため, Lotの異なる2例のDia血球と同定用パネル血球で追加検査したが反応は認められなかった. また交差試験も陰性だった. 反応が認められた3例のDia血球は, いずれもKp(a+)であることから日本人では考えにくい抗Kpa抗体を疑い, 新たに2例のKp(a+)血球で追加検査したところ, いずれもクームス法で反応が認められたため精査を行った. Kell系抗原を選択的に不活化させたAETとDTT処理血球との反応は陰性又は減弱を認め, 吸着解離試験では抗Kpa抗体が解離された. また, DTT処理血清と未処理血清の抗体価に変化は認められなかった. 以上より本抗体はIgG型の抗Kpa抗体と思われた. また保存血清とKp(a+)血球との反応は2001年6月5日まで食塩水法, ブロメリン法, クームス法とも陰性だったことから抗体産生は6月5日から9月3日の間であることが推測された. また, 生化学検査で溶血反応は認められていない. 2001年3月から9月3日の抗Kpa抗体が検出されるまでにMAPを20単位ドナー数で11人の輸血をしているが, 諸事情によりドナー11人のKpa抗原の検索をすることができなかった. 抗Kp且抗体価は抗体産生から約4ヵ月後の12月22日で, ブロメリン法で4倍, クームス法で32倍と高値になり, 翌年1月7日にはブロメリン法で2倍, クームス法で16倍と低下傾向がみられた. また, 本抗体はHTLA様の反応を示した. 1まとめ】1. 頻回輸血患者の抗体スクリーニングで免疫抗体と思われる抗Kpa抗体を検出した. しかし, 輸血した血液のKpa抗原を検索することができなかったため自然抗体を否定することはできなかった. 2. 人種による出現頻度にこだわらずに, 抗体検索を行う必要があると思われた.
ISSN:0546-1448