P-006 輸血患者末梢血からの比重液を利用した自己赤血球の回収

(目的)頻回輸血患者では, 輸血された赤血球が血液中に存在するため, 患者自身の血液型を正確に判定することが困難となる. 血液型判定のためには, 自己血球を分離する必要がある. 幼若な赤血球の比重は輸血された赤血球の比重より軽いと言われており, 毛細管遠沈法により自己赤血球を回収する方法が報告されているが, 今回は毛細管を使用せず, リンパ球分離用の比重液を使用して, 自己赤血球を回収する方法を試みたので報告する. (方法)フィッシャーチューブに150μlの比重液:Ficoll-Paque PLUS(Pharmacia)を入れ, 患者赤血球を生理食塩水で2~3倍に希釈したものを, 比重液の上に...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 2002, Vol.48 (2), p.158-158
Hauptverfasser: 金光靖, 菅野知恵美, 川本佳代, 伊藤志保, 麻田真由美, 峯佳子, 藤田往子, 芦田隆司, 金丸昭久
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:(目的)頻回輸血患者では, 輸血された赤血球が血液中に存在するため, 患者自身の血液型を正確に判定することが困難となる. 血液型判定のためには, 自己血球を分離する必要がある. 幼若な赤血球の比重は輸血された赤血球の比重より軽いと言われており, 毛細管遠沈法により自己赤血球を回収する方法が報告されているが, 今回は毛細管を使用せず, リンパ球分離用の比重液を使用して, 自己赤血球を回収する方法を試みたので報告する. (方法)フィッシャーチューブに150μlの比重液:Ficoll-Paque PLUS(Pharmacia)を入れ, 患者赤血球を生理食塩水で2~3倍に希釈したものを, 比重液の上に約800μl重層した. フィッシャー遠心機で2000g, 10分間遠心後, 比重液の上部境界部分にある赤血球を回収し生理食塩液で1回洗浄後, 3~5%赤血球浮遊液に調整し, 血液型判定に使用した. (結果)血液疾患に伴う貧血患者2名で, 輸血前後の血液型判定を行い, 輸血後検体の比重液分離赤血球と比較した. 症例1:RC-MAP-2が2本輸血され, 輸血前と後で不一致となった血液型は, C(0→1+), N(0→1+), Jka(0→1+s)であった. 症例2:RC-MAP-2が3本輸血され, 輸血前と後で不一致となった血液型は, c(0→1+), E(0→1+), M(0→1+w)となった. 症例1, 2の3抗原はすべて分離赤血球では陰性となり, 輸血前の血液型と一致した. 出血に対して輸血した患者3名も同様に輸血前後の血液型を比較した. それぞれの症例で1抗原ずつが輸血前後で不一致となったが, 比重液分離では赤血球が分離できなかった. また, RC-MAP8本でパイロットチューブの赤血球を使用して比重液分離を行ったが, 赤血球は分離しなかった. (考察)血液疾患に伴う貧血患者では, 比重の軽い赤血球が分離でき, 分離赤血球は自己赤血球と思われ, 輸血患者の血液型判定に有効と考えられる. 出血に対して輸血した患者では, 赤血球の分離が出来なかった.
ISSN:0546-1448