阻害物質によりブロメリン1段法で検出できなかったと考えられる抗E抗体の1症例

夜間休日の緊急時の交差適合試験として行われているブロメリン1段法は, 血清中に生理的に存在する蛋白分解酵素に対する阻害物質の影響を受けることが知られている. 今回夜間救急搬送された抗E抗体保有患者が阻害物質によりブロメリン1段法で交差適合試験陰性となったと考えられ不適合輸血を行った症例を経験したので報告する. 「症例」 65歳男性, 輸血歴あり. H12年10月23日夜間, 胃潰瘍からの大量吐血のため当院に救急搬送され赤血球MAP6単位を輸血し, 5日後に下血のためMAP6単位を輸血した. 「検査結果および経過」 O型Rh(D)陽性, CCDee. 不規則抗体スクリーニング陽性となり, クーム...

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Hauptverfasser: 米倉光代, 工藤元記, 稲葉孝, 倉辻忠俊, 三好知明, 鹿井干城
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:夜間休日の緊急時の交差適合試験として行われているブロメリン1段法は, 血清中に生理的に存在する蛋白分解酵素に対する阻害物質の影響を受けることが知られている. 今回夜間救急搬送された抗E抗体保有患者が阻害物質によりブロメリン1段法で交差適合試験陰性となったと考えられ不適合輸血を行った症例を経験したので報告する. 「症例」 65歳男性, 輸血歴あり. H12年10月23日夜間, 胃潰瘍からの大量吐血のため当院に救急搬送され赤血球MAP6単位を輸血し, 5日後に下血のためMAP6単位を輸血した. 「検査結果および経過」 O型Rh(D)陽性, CCDee. 不規則抗体スクリーニング陽性となり, クームス法およびフィシン2段法により抗E抗体が同定された. 数種類の試薬を用いたブロメリン1段法とクームス法により交差適合試験を再度行った. その結果, 特定のロットのブロメリン試薬で抗原陽性血球(R1R2)4単位との反応が陰性になり, 他のロットおよびクームス法では陽性となった. 10月24日にDAT陽性となり抗体解離試験により抗E抗体が検出された. 10月27日に生化学検査で軽度の溶血所見を認めたが, 翌日にはDAT陰性となり2週間後には改善し, 11月下旬に軽快退院となった. 冷蔵保存してあった輸血前検体の特定ロットでの確認ではR1R2血球との反応が11月2日に(w+), 11月13日には(3+)となった.
ISSN:0546-1448