放射線照射NK株化細胞による末梢血幹細胞移植片中に混在する腫瘍細胞のパージング

[目的] 末梢血幹細胞移植の際に腫瘍細胞の混入は問題となる. 腫瘍細胞の除去にcyclophosphamide等が用いられることがあるが, 患者の末梢血リンパ球(PBL)をインターロキンー2で刺激して誘導したLAK細胞を用いる試みも検討されている. しかし患者によってはLAKの誘導が困難であったり, キラー活性が低くてパージングに役に立たない場合もある. これまで我々はその試みを報告してきたが, 今回とくに多種の腫瘍細胞を殺すNK株化細胞を放射線照射してから用いる実験をし, 照射後その細胞がどの程度キラー活性を維持するかを検討したので報告する. [方法] 患者由来のLAK細胞及びNK株化細胞(...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 2001, Vol.47 (2), p.255-255
Hauptverfasser: 増田智子, 松本美紀, 大石裕紀子, 梶原道子, 小松文夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:[目的] 末梢血幹細胞移植の際に腫瘍細胞の混入は問題となる. 腫瘍細胞の除去にcyclophosphamide等が用いられることがあるが, 患者の末梢血リンパ球(PBL)をインターロキンー2で刺激して誘導したLAK細胞を用いる試みも検討されている. しかし患者によってはLAKの誘導が困難であったり, キラー活性が低くてパージングに役に立たない場合もある. これまで我々はその試みを報告してきたが, 今回とくに多種の腫瘍細胞を殺すNK株化細胞を放射線照射してから用いる実験をし, 照射後その細胞がどの程度キラー活性を維持するかを検討したので報告する. [方法] 患者由来のLAK細胞及びNK株化細胞(NK-92)を25Gyの照射後に各種腫瘍細胞及びミエローマ細胞にin vitroで作用し, キラー活性を4h-^^51 Cr release assayにて測定した. NK-92の抗原性についてはddyマウス皮下に2週ごとに6回注射し, 6ヶ月間観察し抗体の出現を見た. [結果] NK-92はCD54を発現するほとんどの腫瘍細胞を殺し, 照射したNK-92のキラー活性は照射直後でコントロールと大差なく, 12時間後で60%に, 24時間後で10%に低下し, 照射後の生存率は24時間で20%に, 48時間で2%以下に減じ, LAK細胞は48時間で10%は生存した. マウスへの注射でNK-92の影響はなく抗体も産生されなかったが, PBLの注射で4/20匹に抗体が産生された. [結論] NK-92はKIRを欠き腫瘍細胞からの抑制作用を受けない. そのため多くの腫瘍細胞を殺すことができる. PBLに比較し放射線に鋭敏で照射後長時間キラー活性を維持出来ないが, その分破壊されやすく, 抗原性も弱く抗体も産生されにくい. 照射後4時間内で十分腫瘍細胞を破壊するのでパージングに応用できると思われた.
ISSN:0546-1448