温度モニター装置による赤血球温度の管理の経験

近年, 血液成分の温度管理の重要性が指摘されている. しかしながら, 実際に血液成分がどのように温度変化をしているのか把握できていない. このため, 一旦, 病棟に出庫した血液の再利用が可能かどうか判定することができない. 今回, 血液センター出庫以降の温度変化を持続モニターを用いて調査した. 対象と方法:1分ごとに連続して3万回(約20日間)温度測定ができるGlory社製温度モニターQMA-130WGを導入した. 血液バッグ内に生理食塩水を注入し, 血液バッグ内および外部上下両面の温度変化を測定した. 二日市の福岡センターからアトル社配送センター担当者に赤血球が手渡された時点で温度モニターを...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 2001, Vol.47 (1), p.36-37
Hauptverfasser: 二宗みのり, 佐野美幸, 藤井フサ子, 中田弘, 稲葉頌一, 花田英輔
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, 血液成分の温度管理の重要性が指摘されている. しかしながら, 実際に血液成分がどのように温度変化をしているのか把握できていない. このため, 一旦, 病棟に出庫した血液の再利用が可能かどうか判定することができない. 今回, 血液センター出庫以降の温度変化を持続モニターを用いて調査した. 対象と方法:1分ごとに連続して3万回(約20日間)温度測定ができるGlory社製温度モニターQMA-130WGを導入した. 血液バッグ内に生理食塩水を注入し, 血液バッグ内および外部上下両面の温度変化を測定した. 二日市の福岡センターからアトル社配送センター担当者に赤血球が手渡された時点で温度モニターを装着し, 患者に輸血が終了するまでの温度変化を測定した. 結果:血液バッグ内温度は外気温が25~27℃の温度環境で冷蔵庫(4~6℃)から出庫後30分で10℃上昇した. バッグ表面温度はバッグ表面上部の方が下部に比べて外気温の影響が大であった. 表面とバッグ内の温度のずれは約30分であった. 長期連続モニターでの温度変化は入庫処理, 血液照射の2点で著明に上昇が見られた. センターから病院までの搬送では大きな温度変化は見られなかった. 考察:血液バッグは外気温の影響を非常に受けやすかった. AABB technical manual 13ed.には10℃を超えて30分以上放置されていた場合, 再利用しないとされているが, 今回の測定で室温に1時間以上放置すればこの条件を満たしてしまうことが明らかになった. また, 短時間の停電も明らかに温度変化を観察することができた. 一方, このような温度履歴管理が実現できれば変質する温度に達していないことが立証でき安心して再出庫することが可能になる.
ISSN:0546-1448