MDS患者への赤血球MAP輸血において白除フィルターの関与が疑われた非溶血性副作用の1例

「目的」MDS患者にA社の白血球除去フィルター(白除F)を用いて赤血球M・A・P「日赤」(MAP)を輸血直後, 呼吸困難などの非溶血性副作用症状が発現した. このため不適合輸血を疑い, 交差適合「主試験」をMTS法(カード法)で行ったところ, 白除F濾過後の赤血球のみが陽性を示した. 濾過前の赤血球は陰性であったことから, この反応の原因と副作用の因果関係を検討した. 「症例」27歳, 男性, MDS, 主訴は息切れ, 皮下出血. 検査値:Hb3.0g/dL,WBC2,600/μL,Ht14%. 貧血改善のためMAP輸血開始. 約30ml輸血後, 輸血セットと注射針の間に血液のもれを認めた....

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Hauptverfasser: 瀬下敏, 立川泰雄, 小島健一, 酒井由美子, 丸山直子, 山崎美智子
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:「目的」MDS患者にA社の白血球除去フィルター(白除F)を用いて赤血球M・A・P「日赤」(MAP)を輸血直後, 呼吸困難などの非溶血性副作用症状が発現した. このため不適合輸血を疑い, 交差適合「主試験」をMTS法(カード法)で行ったところ, 白除F濾過後の赤血球のみが陽性を示した. 濾過前の赤血球は陰性であったことから, この反応の原因と副作用の因果関係を検討した. 「症例」27歳, 男性, MDS, 主訴は息切れ, 皮下出血. 検査値:Hb3.0g/dL,WBC2,600/μL,Ht14%. 貧血改善のためMAP輸血開始. 約30ml輸血後, 輸血セットと注射針の間に血液のもれを認めた. 輸血セットを白除Fに替え再開直後, 副作用発現. 注射針部の違和感, 疼痛, 熱感が急速に注射部位から胸部へと広がり, 呼吸困難, 頻脈(>120/分), 高血圧, 苦しみの体動, 両手爪チアノーゼなど. 直ちに輸血を中止し, プレドニゾロン20mg, サクシゾン300mg静注, 酸素吸入等により症状改善. 「方法と成績」1. 患者血液検査は特記すべき異常なし:血液型, 不規則抗体検索, DAT試験, 抗HLA抗体・抗血小板抗体・抗顆粒球抗体の検索, 血漿蛋白抗体検索, 血漿蛋白欠損検索, 総IgE含量. 2. 白除F濾過後MAPのカード法:他のMDS患者及び献血者血清は陰性. 3. 他社白除Fの反応:同一MAPをB社, C社白除Fで濾過したカード法の結果は陰性. 4. 白除Fと血球の接触を避ける実験:MAPを遠心し, 上清を白除F通過後, 元の血球と混ぜたカード法は陰性. 5. 白除F濾材について:濾材製造工程の変更実験で, 陽性因子を特定. 6. 白除F濾過前後の鏡検:白除F通常使用では凝集や形態変化等を認めない. しかし, 実験的に生食プライミング後, 白除F濾過した赤血球では一部に弱い凝集を認めた. 7. 白除F濾過前後の赤血球ゼータ電位:変化を認めない. 「結果と考察」カード法の陽性反応は患者特異的現象と考えられた. その原因は白除Fの血球接触刺激と考えられた. しかし, 今回測定した範囲では, カード法の反応と副作用との因果関係は証明できなかった. 現在, 患者は輸血セットで輸血しており症状の再発はない.
ISSN:0546-1448