当センターにおける不規則性抗体の検出状況

不規則性抗体スクリーニングは安全で適正な輸血を行なう上で, 重要かつ必須な検査である. 今回, 当センターにおいてコンピューターによる輸血管理システムを導入して以来, 約二年半の不規則性抗体の検出状況を集計し得たので, 今後の改善点を含めて若干の考察を加えて報告する. 【方法】不規則性抗体は(1)生食法(直後判定, 室温15分判定, 低温判定)(2)酵素法(ブロメリン1段法)(3)クームス法(重合アルブミン30分加温)にて異常を認めたものについて同定を行った. 【結果】輸血管理支援システムを導入以来H8.4.1~H10.11.30の期間において依頼された不規則性抗体スクリーニング総件数2038...

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Hauptverfasser: 河合健, 山本賢, 山本律子, 高田雅弘, 米田孝司, 片山善章, 宮田茂樹
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:不規則性抗体スクリーニングは安全で適正な輸血を行なう上で, 重要かつ必須な検査である. 今回, 当センターにおいてコンピューターによる輸血管理システムを導入して以来, 約二年半の不規則性抗体の検出状況を集計し得たので, 今後の改善点を含めて若干の考察を加えて報告する. 【方法】不規則性抗体は(1)生食法(直後判定, 室温15分判定, 低温判定)(2)酵素法(ブロメリン1段法)(3)クームス法(重合アルブミン30分加温)にて異常を認めたものについて同定を行った. 【結果】輸血管理支援システムを導入以来H8.4.1~H10.11.30の期間において依頼された不規則性抗体スクリーニング総件数2038件のうち, 抗体が検出されたものは171件(8.39%)であった. これらのうち, 冷式抗体(非特異性)が109件(5.35%)を占め, 特異性を認めた抗体が検出されたものは62件(3.04%)であった. 詳細な分類では, 複合抗体検出例が16件, 単独抗体検出例が46件であった. 複合抗体ではRh系, Rh系+Di^a の検出頻度が高く, 単独抗体ではM, Le^a , E, Le^b の検出頻度が高かった. 特殊な例として, 当初C+e+S+Le^b 抗体保有患者であったが定期的な輸血によってFy^b 抗体の出現を認めたケース, また, 緊急症例で夜間当直時にクロスマッチで不適合となり後にJr^a 抗体と同定されたケースなどに遭遇したが, 血液センターの協力を得て, 適合血の確保や解凍赤血球の供給によって問題なく対応することができた, 【考察】当センターは循環器に特化した病院で入院患者の大半が手術時に輸血を必要とし, 事前の不規則航体の同定が安全で適切な輸血管理に重要な位置を占めている. また, 技師が24時間体制で日・当直を行っているため, リスクの軽減という面でも重要である. この意味で, コンピューターによる情報管理をなし得たこと, また血液センターとの密な連携が, 適切な輸血につながったと思われる. 現在カラム法に切り替え, 検査の標準化, 効率化を進めている. 加えて検査普及率を上げるための検査体制を検討し, 患者情報(輸血歴, 妊娠歴など)の収集や, 輸血後あるいは抗体保有患者に対するフォローなど, 細かな検査を実施し情報の的確な収集を計り, より安全で適切な輸血管理システムの構築を模索中である.
ISSN:0546-1448