白血球除去フィルター適応外使用とその問題点
白血球除去フィルターは非溶血性発熱反応や同種免疫の予防などに使用されているが, 特定保険医療材料であり保険の算定要件が制限されているため適応外の使用は病院の負担になっている. 当院では各科毎に購入しているため使用方法に疑問を持ちながらもその状況を把握できなかった. 今回その購入・算定状況から奉フィルターに関わる問題点と対応策を検討したので報告する. なお, retrospective studyながら白血球除去フィルターを使用している科と未使用科の輸血副作用状況, 抗HLA抗体産生およびそれらに対する本フィルターの効果についても検討した. 結果 98年1月から7月までの白血球除去フィルターの購...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 白血球除去フィルターは非溶血性発熱反応や同種免疫の予防などに使用されているが, 特定保険医療材料であり保険の算定要件が制限されているため適応外の使用は病院の負担になっている. 当院では各科毎に購入しているため使用方法に疑問を持ちながらもその状況を把握できなかった. 今回その購入・算定状況から奉フィルターに関わる問題点と対応策を検討したので報告する. なお, retrospective studyながら白血球除去フィルターを使用している科と未使用科の輸血副作用状況, 抗HLA抗体産生およびそれらに対する本フィルターの効果についても検討した. 結果 98年1月から7月までの白血球除去フィルターの購入額と算定額から病院負担分は購入額の39%と計算された. また, 診療科ごとの血小板用白血球除去フィルターの算定率は血液内科や小児科では95%前後であったが, その他の科では0~77%と幅があった. 各診療科の看護婦への聞き取り調査から低い算定率の主な原因として○血小板, 赤血球用とも本フィルターの特性を理解せず使用し, 意義そのものを理解していない可能性があった○血小板用で算定率が低い科では, 使用しても処置票への記入漏れがあったり, 発熱や感染症患者に安易に使用していた○本フィルターが特定保険医療材料であることを知らず医事課側も使用上の注意を十分に伝えていなかった等があげられる. さらに微小凝集塊用フィルターの算定率は5%と著しく低く, 通常の輸血フィルターの代用として使用されていたこともわかった. 当院における98年1月から11月までの発熱, 蕁麻疹, 呼吸困難その他の輸血副作用報告では白血球除去フィルターを使用している科としていない科との間に報告件数に違いは認められなかった. この点に関しては報告例数も少なく, 基礎疾患や輸血頻度, 報告者の副作用に対する認識の違いなど不確定要素が多く, 単純に比較ずることは出来ないかもしれない. また, 血液内科で96年1月から98年11月までに血小板輸血を受けた患者の7%に抗HLA抗体が検出された. また, HLA抗体陽性者の大部分は血液内科で76%であったが残り24%は血液疾患以外の患者であり, いずれも頻回輸血患者であった. すでにprospective studyが白血球除去フィルターの有用性を証明しているが, 最近では本フィルターそのものによる副作用報告もあることから, その使用には慎重な対応が必要と思われた. 考察 院内の輸血療法委員会でこの問題を取り上げ, 病院全体で本フィルターが適正に使用されるよう喚起した. 具体的な改善策として○適応者の輸血には本フィルターを付けて血液を出庫する○フィルターに使用上の注意を明示する○処置票に忘れずに記入する○フィルターの一括管理を検討する等の案が出された. なお, 使用基準が制限されている一方でCMV感染予防, 未照射血の代用として, また最近ではCJDの予防に有用との報告もあり, 臨床の現場では保険請求との兼ね合いから若干混乱が生じているかもしれない. 乱用は慎むべきであるが, 医学的に明確な根拠があるものに関しては使用可能なよう適応書に柔軟な表現が使用されればと考える. |
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ISSN: | 0546-1448 |