血小板輸血および洗浄血小板輸血においてもショック症状をきたした1症例
我々は白血球除去フィルターを使用し, 血小板輸血および洗浄血小板輸血を試みたがショック症状をきたした1症例を経験したので報告する. 【症例】患者は42才男性, IBL like T-cell lymphomaに対して化学療法を2コース施行し, その後Auto-PBSCT併用大量化学療法を施行した. PBSCT施行4日後に血小板10単位を白血球除去フィルター(テルモ社製イムガード)を使用し輸血したところ輸血開始後2~3分で気分不快を訴え, その後意識消失, ショック状態になり一時呼吸停止となった. 収縮期血圧は50mmHgまで低下, 心拍数134となり, 直ちに, ステロイド投与, 補液にて,...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1999, Vol.45 (2), p.218-218 |
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Hauptverfasser: | , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 我々は白血球除去フィルターを使用し, 血小板輸血および洗浄血小板輸血を試みたがショック症状をきたした1症例を経験したので報告する. 【症例】患者は42才男性, IBL like T-cell lymphomaに対して化学療法を2コース施行し, その後Auto-PBSCT併用大量化学療法を施行した. PBSCT施行4日後に血小板10単位を白血球除去フィルター(テルモ社製イムガード)を使用し輸血したところ輸血開始後2~3分で気分不快を訴え, その後意識消失, ショック状態になり一時呼吸停止となった. 収縮期血圧は50mmHgまで低下, 心拍数134となり, 直ちに, ステロイド投与, 補液にて, 数分後血圧は110mmHgまで回復し, 意識も回復した. 3日後, 血小板10単位を生理食塩水で2回洗浄し, ステロイド剤を事前に投与し, 白血球除去フィルターを使用し, 洗浄血小板輸血を試みたが, 輸血開始1分後に熱感を訴え, 続いて顔面紅潮, 吐き気, 眼球上転が見られ意識が消失し, 収縮期血圧が60mmHgに低下した. 直ちに輸血を中止し, ステロイド投与と補液にて今回もショック症状は改善した. 患者は血小板輸血前にMAP血2単位の輸血を2回とγ-グロブリン製剤を1回輸注しているが, いずれの時も特別な副作用はなかった. 【結果および考察】 本例について日本赤十字社依頼の副作用の検査結果では抗血漿タンパク質抗体の検査:陰性, 血漿タンパク質含量の検査:欠損なし, 抗HPA抗体:陰性, 抗HLA抗体:陰性であった. 二度目のショック時の製剤バック中と白血球除去フィルター通過後の製剤中のブラジキニン, IL-1α, IL-1β, IL-6, IL-8, TNF-αの濃度を測定したが両者の値に有意な差は認められず, フィルターがショックの原因とは考えにくい. 患者はACE阻害剤の使用もなく, 血中のACE活性は正常値の下限であった. しかし患者の輸血ショック後の血中ブラジキニンの濃度(840pg/ml)とIL-6の濃度(57.4pg/ml)は上昇が認められた. 以上により詳細は不明ではあるが, 本例の輸血後ショックの要因はGraft側ではなく, Host側に要因があるものと考えられ, 今後の検討が必要である. |
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ISSN: | 0546-1448 |