日本人におけるRhD^Va の多型

緒言 現在, 赤血球型は23種類知られており, 中でもRh型は最も複雑で, かつ, 臨床上非常に重要である. 今回我々は, 日本人由来のRhD^Va 4検体について翻訳領域の全配列を解析し, アミノ酸置換と血清学との対応について考察した. 方法 RhD^Va 4人の末梢血から網赤血球を分離した後, mRNAを抽出しcDNAを合成した. 翻訳領域の上流, 下流にそれぞれprimerを設定し, PCR増幅, クローニングを行った. 特異的primerによるPCR増幅の有無によりRHD遺伝子のクローンを選択し, 翻訳領域の全塩基配列を決定した. すべての検体について16種類のモノクローナル抗D抗体に...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1999, Vol.45 (2), p.184-184
Hauptverfasser: 兵藤博信, 石川善英, 柏瀬貢一, 小川篤子, 渡辺嘉久, 常山初江, 豊田智津, 内川誠, 赤座達也, 藤井知行, 上妻志郎, 武谷雄二, 十字猛夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:緒言 現在, 赤血球型は23種類知られており, 中でもRh型は最も複雑で, かつ, 臨床上非常に重要である. 今回我々は, 日本人由来のRhD^Va 4検体について翻訳領域の全配列を解析し, アミノ酸置換と血清学との対応について考察した. 方法 RhD^Va 4人の末梢血から網赤血球を分離した後, mRNAを抽出しcDNAを合成した. 翻訳領域の上流, 下流にそれぞれprimerを設定し, PCR増幅, クローニングを行った. 特異的primerによるPCR増幅の有無によりRHD遺伝子のクローンを選択し, 翻訳領域の全塩基配列を決定した. すべての検体について16種類のモノクローナル抗D抗体による反応パターンを調べた. 結果 cDNAから4種類の異なる塩基配列が得られた. これらの変異は全てexon5で起きており, 他のexonは全て正常なRHDと同じであった. うち3種類はRHCEと置き換わる変異であり, 1種類はユニークな変異であった. この4検体を含めRhD^Va 13検体から得たgenomic DNAを用い, exon5の塩基配列を解析したところ, 全て上述の4種類に分類された. ユニークな変異であった1種類は, 血清学的にも他と区別され, epD1及び5に加えepD2及び6/7の一部も欠如していた. 考察 今回の解析と, 既に報告されているD^Va の計5種類に共通している変異は, 233番目のグルタミン酸が他のアミノ酸に置き換わっていることである. 血清学的には, epD1及び5が欠如していることである. したがって, 233番目のグルタミン酸はepD1及び5の抗原性を決定づける重要なアミノ酸と考えられる.
ISSN:0546-1448