ドナー・ケアについて看護婦ができること

【目的】善意の献血者の協力がなくては成り立たない献血においては, ドナーの身心に何事もなく安全に採血することが採血看護婦にとって最大の使命である. しかし採血に伴う副作用の発生は免がれ難い. 成分採血に伴う副作用の中で最も発生頻度の高いVVR(血管迷走神経反応)について, 最近1年間に起こったVVRの原因を要因別にさぐることにより, ドナー・ケアの方向性を考えてみたい. 【方法と結果】平成10年1~12月までの成分献血者数21,173名のうちVVRの発生数, 原因, 発生時期, 対応について男女別, PCとPPP別に調査した. 1)VVRの発生数は152件(0.72%)であった. そのうち男性...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1999, Vol.45 (2), p.138-138
Hauptverfasser: 中野月子, 筧とし子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】善意の献血者の協力がなくては成り立たない献血においては, ドナーの身心に何事もなく安全に採血することが採血看護婦にとって最大の使命である. しかし採血に伴う副作用の発生は免がれ難い. 成分採血に伴う副作用の中で最も発生頻度の高いVVR(血管迷走神経反応)について, 最近1年間に起こったVVRの原因を要因別にさぐることにより, ドナー・ケアの方向性を考えてみたい. 【方法と結果】平成10年1~12月までの成分献血者数21,173名のうちVVRの発生数, 原因, 発生時期, 対応について男女別, PCとPPP別に調査した. 1)VVRの発生数は152件(0.72%)であった. そのうち男性:46件(0.36%), 女性:106件(1.27%)で差がみられたが, PCとPPPではPC81件(0.65%), PPP71件(0.82%)で差は見られなかった. 2)VVRの推定原因:(1)緊張不安, (2)血管トラブル, (3)以前の気分不良が影響していた. またこれらと関連し女性の発生頻度が高かった. 3)発生時期:(1)直後が12件(8%), (2)採血30分以内66件(43%), (3)後半74件(49%)で, (1)(2)(3)において男女差はみられたが, PCとPPPの差がなかった. 特に(3)後半においえ女性の発生頻度が高かった. 【まとめ】VVRの発生は, 献血者の身心になんらかのダメージを与え, 次回献血への意欲自身を損なってしまうことが懸念される. 安全に採血を行うため, ドナー・ケアについて次のことをさらに強化していきたい. 1)献血者の体調や背景をできる限り把握して接する. 2)特に女性のドナーに対して採血前から終了後まで, よりきめ細やかな配慮をする. 3)ドナーから離れない. 背を向けない. ドナーが「見守られている」という, 安心感を持てるような存在感のある誠実な言動で, 緊張感を和らげる. 4)穿刺技術の向上により, 苦痛を最小限にできるよう努める. 5)献血を支える誇りと喜びをドナーが得られるよう, 献血者の立場に立ってケアーをする. 7)たとえVVRが起こった場合でもドナーを支え励ます. 8)インフォームドコンセントを重視する.
ISSN:0546-1448