骨髄移植後のドナーBリンパ球が産生したと思われる不規則性抗体について

症例は50歳男性. AML(M2)で妹をドナーとして骨髄移植を受けた. 血液型は両者ともO型(+), Rh因子はレシピエントがRlR2, ドナーがRlR1. Kidd式はドナーがJK(a+b-)であったがレシピエントは移植前まで輸血を受けていたので未検. 移植前の抗体スクリーニングは両者とも陰性であった. 1年後に再発した際, 抗E抗体が検出され, その後血小板のみの輸血にもかかわらず, 抗c, 抗JKb抗体が検出された. 必要に応じ適合血輸血が行われたが, 血算, 生化学検査及び直接クームス陰性より不規則性抗体の関与した溶血はなかったと考えられた. その後同じドナーより末梢血幹細胞移植を受け...

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Hauptverfasser: 佐々木さき子, 佐藤淑子, 藤井喜栄子, 後藤健治, 高舘潤子, 渕澤明子, 田崎哲典, 伊藤忠一, 伊藤薫樹, 成ヶ澤靖, 廚信一郎
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は50歳男性. AML(M2)で妹をドナーとして骨髄移植を受けた. 血液型は両者ともO型(+), Rh因子はレシピエントがRlR2, ドナーがRlR1. Kidd式はドナーがJK(a+b-)であったがレシピエントは移植前まで輸血を受けていたので未検. 移植前の抗体スクリーニングは両者とも陰性であった. 1年後に再発した際, 抗E抗体が検出され, その後血小板のみの輸血にもかかわらず, 抗c, 抗JKb抗体が検出された. 必要に応じ適合血輸血が行われたが, 血算, 生化学検査及び直接クームス陰性より不規則性抗体の関与した溶血はなかったと考えられた. その後同じドナーより末梢血幹細胞移植を受けたが, 肝中心静脈閉塞をおこし亡くなった. 考察:両者の血液型より抗体は生着したドナーのBリンパ球が産生したと思われた. 一次感作には, 移植前の輸血, レシピエントの残存赤血球, 移植17日目のLPRCが関与したと考えられた. 二次応答には血小板製剤中の残存赤血球や, レシピエント本来の赤血球も疑われたが不明である. まとめ:骨髄移植前のレシピエント, ドナーのABO式, Rh式以外の血液型を把握しおておくことは生着の判定以外に不規則性抗体検出時の対応にも有用である. 症例によって血小板製剤中の残存赤血球が二次感作の原因となることを考慮して抗体スクリーニングをすることが望ましい.
ISSN:0546-1448