献血者から検出された Partial RhE (RhEFM)の遺伝子解析

【目的】赤血球型の判定は現在血清学的手法で行われているが, 判別が困難な場合がありDNAタイピング法の導入が考えられている. DNAタイピング法を開発するために, 亜型の塩基配列の決定を行い, そのデータを蓄積することは重要である. 今回, 血清学的反応性から partial RhE (RhEFM)と同定された献血者の塩基配列の解析を行ったので報告する. 【方法】RhEFM を持つ献血者の末梢血から比重法により分離した網状赤血球から, total RNA を抽出したのち cDNA を合成した. 得られた cDNA を用い, RH 遺伝子特異的プライマーにて翻訳領域全域を増幅後, TOPO TA...

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Hauptverfasser: 柏瀬貢一, 渡辺嘉久, 常山初江, 小川篤子, 豊田智津, 内川誠, 石川善英, 赤座達也, 十字猛夫
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】赤血球型の判定は現在血清学的手法で行われているが, 判別が困難な場合がありDNAタイピング法の導入が考えられている. DNAタイピング法を開発するために, 亜型の塩基配列の決定を行い, そのデータを蓄積することは重要である. 今回, 血清学的反応性から partial RhE (RhEFM)と同定された献血者の塩基配列の解析を行ったので報告する. 【方法】RhEFM を持つ献血者の末梢血から比重法により分離した網状赤血球から, total RNA を抽出したのち cDNA を合成した. 得られた cDNA を用い, RH 遺伝子特異的プライマーにて翻訳領域全域を増幅後, TOPO TAクローニングシステムにより RH 遺伝子をクローニングした. クローンの特異性を PCR-SSP(sequence specific primers)法により同定し, RHE の塩基配列を持つ3クローンについて, それぞれセンス, アンチセンスの両鎖を自動シークエンサーを用いて解析した. 【結果】得られた塩基配列を既知の RH 遺伝子の塩基配列と比較した所, RHcE 遺伝子と最も相同性が高く, Exon5に2ヶ所の塩基置換がみられた. その違いは, 233番目のコドンにおいてRHEFM遺伝子が GAA (グルタミン酸)であるのに対し既知の RHcE 遺伝子は CAA(グルタミン), 238番目のコドンにおいては GTG (バリン)に対して ATG (メチオニン)の配列を持っていた. この2塩基は RHD 遺伝子と共通の配列であった. 【考察】今回解析を行った RhEFM は, Exon5における最小で16bp, 最大で56bp の RHDとRHcE 遺伝子との間の遺伝子変換(short segment gene coonversion-like event)により生じた可能性が考えられた. 今回変異がみつかった2ヶ所のアミノ酸は赤血球膜の外側に位置するものと予想される. したがって, RhEFM の血清学的反応性の変化は, RhEタンパクの一部がRhD特異的アミノ酸をもったため生じたものと考えられる.
ISSN:0546-1448