小児低形性貧血の鑑別における Peanut lectin の有用性
目的:小児低形性貧血は末梢血液像, 骨髄像等により診断がなされているが, 病初期に慢性型か急性型であるか同定し, 輸血などの選択が急がれる場合がある. この場合一過性の急性型ものであればできるだけ輸血は慎重に, 回復まで待つことも必要と考えられる. そこで演者らがこれまでに経験してきた小児期の低形性貧血の慢性型, 急性型等の鑑別に患者赤血球と Peanut lectin (PNA)と凝集反応をみることの有用性を報告する. 対象と方法:生後1ヶ月から15歳までの小児期の貧血患者で, Hb値は5.8~10.5g/dl, 骨髄像で赤芽球系の低形成をみとめたもの. 慢性型は生後1ヶ月~12ヶ月までに診...
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Zusammenfassung: | 目的:小児低形性貧血は末梢血液像, 骨髄像等により診断がなされているが, 病初期に慢性型か急性型であるか同定し, 輸血などの選択が急がれる場合がある. この場合一過性の急性型ものであればできるだけ輸血は慎重に, 回復まで待つことも必要と考えられる. そこで演者らがこれまでに経験してきた小児期の低形性貧血の慢性型, 急性型等の鑑別に患者赤血球と Peanut lectin (PNA)と凝集反応をみることの有用性を報告する. 対象と方法:生後1ヶ月から15歳までの小児期の貧血患者で, Hb値は5.8~10.5g/dl, 骨髄像で赤芽球系の低形成をみとめたもの. 慢性型は生後1ヶ月~12ヶ月までに診断された先天性慢性型の赤芽球勞(Diamond-Blackfan anemia)11例(うち3例は家族内発生), 汎血球減少症を呈する再生不良性貧血(再不貧)5例, 1~2系統の血球減少と形態異常を伴うMDSと再生不良性貧血との移行型のもの(IDD)3例, 3系統の細胞形態を伴うMDS4例(RA:1, RAEB:2, RAEB-t:1). 初期DBAと思われた後に Fanconi 貧血と診断された1例. その他急性白血病10例, 各種溶血性貧血6例, 鉄欠乏性貧血5例. 急性型は Parvo virus B19 の感染によると診断した遺伝性球状赤血球症の3例, 抗痙攣剤(パルプロ酸)による1例. 溶血性尿毒性症候群(HUS)では何らかの Virus によるもの2例, 肺炎球菌によるもの1例, 0-157によるもの1例である. 方法としてはTX社のレクチンパネルを使用し, これまでに報告した手順により凝集反応を観察し, 一部の症例ではHPLCによる血球膜糖蛋白の糖鎖分析を行い Vibrio. Cholerae 処理PNA反応化赤血球との比較検討をした. 結果と考察:DBAの11例中8例と Fanconi 貧血例はPNAと反応陽性(3例は輸血後で陰性), IDD 3例で陽性, 再生不良性貧血, MDS, その他の貧血で全て陰性, また急性型のもの Parvo 感染症, 薬剤性のものは全例陰性だが肺炎球菌によるものは陽性であった. 以上から慢性型のDBA, Fanconi 貧血, 急性型では肺炎球菌によるものは PNAと反応し, これはHPLCによる人工化PNA反応赤血球と同様の糖鎖異常を呈し, 慢性型の低形性貧血の赤血球には糖鎖構造異常を呈するので急性型との鑑別にはPNAの凝集反応が有効であると考えられた. |
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ISSN: | 0546-1448 |