遺伝子欠失によると思われるHLA-A非発現型の解析

【目的】新生児血小板減少症の患者およびその家族のHLAを検査したところ, 患者の父および兄がHLA-Aを発現していないハプロタイプを保持していることがわかった. そこでこの非発現HLA-A遺伝子のクローニングおよびゲノム解析を試みた. 【方法】HLA-A座のDNAダイビングはPCR-SSPおよびPCR-RFLP法で行った. HLA-A座のクローニングは Exon2, 3 を特異的に増幅した後, Tベクター法によって行い, 塩基配列を決定した. また, パルスフィールドゲル電気泳動後, HLA-A遺伝子近傍にある特異的プローブによるサザン解析を行った. 【結果】家系調査よりこのHLA-A非発現遺...

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Hauptverfasser: 渡辺嘉久, 林律子, 三根英子, 石川善英, 山崎雅子, 小松孝良, 清水勝則, 赤座達也, 十字猛夫
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】新生児血小板減少症の患者およびその家族のHLAを検査したところ, 患者の父および兄がHLA-Aを発現していないハプロタイプを保持していることがわかった. そこでこの非発現HLA-A遺伝子のクローニングおよびゲノム解析を試みた. 【方法】HLA-A座のDNAダイビングはPCR-SSPおよびPCR-RFLP法で行った. HLA-A座のクローニングは Exon2, 3 を特異的に増幅した後, Tベクター法によって行い, 塩基配列を決定した. また, パルスフィールドゲル電気泳動後, HLA-A遺伝子近傍にある特異的プローブによるサザン解析を行った. 【結果】家系調査よりこのHLA-A非発現遺伝子を持つハプロタイプは A blank, B7, Bw6, Cw7, DR1, DQ1であることがわかった. 血清学的ダイビングによる患者の父のクラス I 型は A11.1, -, B51, B7, 患者の兄は A31, -, B48, B7 であるが, HLA-A座のDNAダイビングではそれぞれA*7707, A*3707 のみが検出された. また, 患者の父よりクローニングされたHLA-A遺伝子クローンは塩基配列解析の結果12クローンすべてA*7707であった. 患者の兄のパルスフィールドゲル電気泳動による解析の結果, HLA-A遺伝子を含む断片が通常の個体よりおよそ10~20kb短くなっていることが予想された. 【考察】これまで報告されているHLA-A非発現型はすべて点突然変異あるいは遺伝子変換による塩基置換, 挿入, 欠失によるものであった. しかし今回解析したハプロタイプは, 通常の個体に比べてHLA-A遺伝子を含む断片が10~20kb短いと予想されることから, HLA-A遺伝子の一部あるいは全体の欠失という大規模な変異を生じているものであると考えられる. 欠失している領域の同定などは今後の課題である.
ISSN:0546-1448