極低出生体重児に対するエリスロポエチン製剤の輸血回避効果

平成3年の当院入院症例調査では, 在胎30週未満, 1150g未満で出生した症例に対して高頻度(90%)に輸血が施行された. このことから当院では輸血回避のために上記該当症例に対し積極的にエリスロポエチン製剤(EPO)の投与を開始した. 今回我々は過去1年間に出生した極低出生体重児を対象として輸血状況を調査したので報告する. 【対象と方法】平成8年10月から平成9年9月の1年間に当院新生児集中治療室に入院した極低出生体重児のうち, 交換輸血施行例と外科症例を除いた18例を対象とした. 対象例の在胎期間, 出生体重はそれぞれ24週0日~37週2日(29週2日±3週6日), 705~1410g(1...

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Hauptverfasser: 白川嘉継, 村上知恵, 白幡聡
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:平成3年の当院入院症例調査では, 在胎30週未満, 1150g未満で出生した症例に対して高頻度(90%)に輸血が施行された. このことから当院では輸血回避のために上記該当症例に対し積極的にエリスロポエチン製剤(EPO)の投与を開始した. 今回我々は過去1年間に出生した極低出生体重児を対象として輸血状況を調査したので報告する. 【対象と方法】平成8年10月から平成9年9月の1年間に当院新生児集中治療室に入院した極低出生体重児のうち, 交換輸血施行例と外科症例を除いた18例を対象とした. 対象例の在胎期間, 出生体重はそれぞれ24週0日~37週2日(29週2日±3週6日), 705~1410g(1073±216g)であった. それぞれの症例について, EPO投与歴, 採血回数, 採血量, 総輸血量等の調査を行った. EPOの投与は1回200単位/kgを2回/週皮下注した. 【結果】対象例のうち, 30週未満1150g未満で出生した9例全例にEPO投与され, そのうち3例(33%)に輸血が施行された. EPO投与にもかかわらず輸血が施行された3例の在胎期間, 出生体重は26週1日, 950gが最高で, 出生時のヘモグロビン値は10.2~17.9g/dl, 採血回数, 総採血量, MAP血総輸血量はそれぞれ57~77回, 29~36ml, 32~38mlであった. 3例のEPO投与開始日齢は15~21日であったEPOが投与されなかった8例中在胎28週0日1265gで出生した1例(13%)に無呼吸の治療目的で輸血が施行された. 【考案】在胎期間, 出生体重がそれぞれ27週未満1000g未満で出生した児は従来の方法によるEPOの投与にもかかわらず同種輸血を必要とする場合があるため, 採血量を更に減らす工夫と, EPOの投与量, 投与回数, 投与開始時期の検討を行う必要がある. 更に, このような症例での自己臍帯血輸血の方法を検討する必要がある.
ISSN:0546-1448