希釈式自己血輸血を使用した脳動脈瘤クリッピング術5例の麻酔経験
希釈式自己血輸血は血液確保に比較的時間を必要とせず緊急時にも対応が可能であり, 止血・凝固機能も期待できることから多用されつつある. しかし, 脳神経外科領域においては希釈による脳血流増加や脳浮腫が問題となる可能性がある. 今回エホバの証人を含む5例の脳動脈瘤患者のクリッピング術においてタンパク製剤などの膠質液を用いた希釈式自己血輸血により麻酔管理を行ったので報告する. 【対象症例】1996年8月より1997年12月までに脳動脈瘤と診断され, クリッピング術を実施された成人5例である. 【麻酔管理】入室後末梢静脈路を確保し, 観血的動脈圧測定を開始した. サイオペンタール, ベクロニウムにて導...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 希釈式自己血輸血は血液確保に比較的時間を必要とせず緊急時にも対応が可能であり, 止血・凝固機能も期待できることから多用されつつある. しかし, 脳神経外科領域においては希釈による脳血流増加や脳浮腫が問題となる可能性がある. 今回エホバの証人を含む5例の脳動脈瘤患者のクリッピング術においてタンパク製剤などの膠質液を用いた希釈式自己血輸血により麻酔管理を行ったので報告する. 【対象症例】1996年8月より1997年12月までに脳動脈瘤と診断され, クリッピング術を実施された成人5例である. 【麻酔管理】入室後末梢静脈路を確保し, 観血的動脈圧測定を開始した. サイオペンタール, ベクロニウムにて導入し, 維持にはミダゾラムおよびブトルファノール(またはフェンタニール)を使用した. SvO2付き肺動脈カテ, ダブルルーメン中心静脈カテを挿入後, 約30分かけて自己血採血を行った. 採血開始後より4.4%加熱人血漿タンパク500ml・ヒドロキシエチルデンプン500mlを点滴静注した. エホバの証人症例では宗教上の理由から採血路と返血路を閉鎖回路とした. 採取血は術中室温保存とし, 手術操作終了時までにはすべて返血した. 【結果】平均採血量は675mlであり, タンパク製剤・代用血漿剤を含む平均輸液量3825ml, 平均推定出血量500ml, 平均尿量3770mlであった. 術前の平均Hct値は38.0%であったが自己血採取後26.9%返血前26.8%返血後31.1%こまで復帰した. 平均血清総タンパクは術前6.90g/dlから術後6.28g/dlへと若干低下したが, 術中・術後の著明な脳浮腫を来たすことはなかった. 【結語】開頭術の希釈式自己血輸血においては術中・術後の脳浮腫軽減のため, タンパク製剤などの膠質液による希釈が有効であると考えられた. |
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ISSN: | 0546-1448 |