血小板クロスマッチの必要性について

血小板輸血効果に対して不応答, 非溶血性副作用を起こす患者に対しての, HLAクロスマッチ検査法について検討したので報告する. 結果:免疫抑制剤として抗リンパ球グロブリンを投与していた, 患者(R, M)の抗体スクリーニングにおいて, AHG-LCTが全パネル陽性, 自己のリンパ球に対しても弱く反応を示した. これは投与している抗リンパ球抗体の影響で偽陽性になったと思われたが, クロロキン処理MPHA(T-MPHA)(-)クロロキン未処理MPHA(NT-MPHA)(+)で抗HLA抗体が隠れていることが判明した. AHG-LCTだけでは抗HLA抗体の有無の判定が出来ず, NT-MPHAを行うこと...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1997, Vol.43 (6), p.1026-1026
Hauptverfasser: 大田智, 齋藤敏, 橋爪清隆, 関茂樹, 山田英世
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:血小板輸血効果に対して不応答, 非溶血性副作用を起こす患者に対しての, HLAクロスマッチ検査法について検討したので報告する. 結果:免疫抑制剤として抗リンパ球グロブリンを投与していた, 患者(R, M)の抗体スクリーニングにおいて, AHG-LCTが全パネル陽性, 自己のリンパ球に対しても弱く反応を示した. これは投与している抗リンパ球抗体の影響で偽陽性になったと思われたが, クロロキン処理MPHA(T-MPHA)(-)クロロキン未処理MPHA(NT-MPHA)(+)で抗HLA抗体が隠れていることが判明した. AHG-LCTだけでは抗HLA抗体の有無の判定が出来ず, NT-MPHAを行うことによって抗体が確認された. もう1例は, 広範囲の抗HLA抗体を保有していた患者(T, S)とHLA-A, BマッチのドナーとのクロスマッチにおいてAHG-LCT, NT-MPHAが陽性になり輸血効果も無し, HLA-A, B, CマッチのドナーとクロスマッチAHG-LCT, NT-MPHA共に陰性であった. AHG-LCT陽性でも, NT-MPHAが陰性の場合においては輸血効果が認められた. これは, 血小板上の発現量が少ない抗原のため, 前者で無効, 後者で輸血効果があったものと思われた. 患者81人分の血清を10人の同一のリンパ球及び血小板を使用しAHG-LCT, T-MPHA, NT-MPHAの検査法の比較をした結果, 抗HLA抗体を保有する場合AHG-LCTに先行しNT-MPHAが陽性になると思われた. しかし, HLA適合血小板を使用していないため, AHG-LCTとNT-MPHAの検査結果の相違による輸血効果は不明であった. 結語:検査法の比較では, 実際の輸血効果との関係は明らかではないが, HLA抗原はリンパ球表面上抗原と血小板表面上抗原で発現量に差があり, 検査法も細胞障害性検査とバインディング検査の違いにより, 検査結果に影響があると思われた. 患者血清にも色々な要因(薬など)による影響があるため, 抗HLAスクリーニング, クロスマッチ検査を行う際には, 1つの方法だけでなく2つ以上の検査法を併用して行う必要性があると推察された.
ISSN:0546-1448